獣医師執筆
森のいぬねこ病院グループ院長
日本獣医学会、動物臨床医学会、獣医がん学会所属
西原 克明(にしはら かつあき)先生
犬でよく見る皮膚病には、アレルギー性皮膚炎や細菌感染による膿皮症、真菌の一種であるマラセチア性皮膚炎などがありますが、さらには皮膚糸状菌症というものがあります。
皮膚糸状菌症は、子犬や高齢犬に多くみられる皮膚病ですが、見た目は他の皮膚病との区別が付きづらく、さらには人間の子供や高齢者にも感染する可能性がある厄介な皮膚病です。
ここでは、犬の皮膚糸状菌症について、その症状や診断、治療方法について解説し、さらにはこの面倒な皮膚病を予防するための対策についてお届けします。
一般的な皮膚病は、それぞれに特徴があり、病変部位の特徴や、体の発症部位などから、ある程度診断の目星を付けることは可能です。しかし、犬の皮膚糸状菌症は、様々な症状を示しますので、他の皮膚病との区別が難しく、診断が遅れることもしばしばです。
典型的には、脱毛とフケが一ヶ所、もしくは体のあちこちに見られるようになります。これは体のあちこちにできるため、発症部位の特徴はありません。また、爪の根元に感染するとその周りの脱毛や炎症、痒みが見られるようになります。さらには、皮膚糸状菌症は、他の細菌感染と混合感染を起こすことも多く、脱毛やフケ、痒み以外にも炎症やかさぶたなどが見られることもあります。
上記の通り、見た目では皮膚糸状菌症の診断を行うのは難しく、よりきちんとした診断を行うためには、皮膚糸状菌の培養検査が必要になります。以前は「ウッド灯検査」と呼ばれる、紫外線を当てることで、皮膚糸状菌を見つける検査が行われていましたが、病気とは関係のないカビまで見つけてしまい、それを皮膚糸状菌症として誤診してしまうことが多かったため、今ではあまり行われていません。
一方で培養検査は、皮膚糸状菌症を引き起こす原因のカビを見つけることができるため、より精度の高い診断が可能です。しかし、培養検査は結果が出るまでに2~3週間かかるため、その間に病気が進行してしまうことから、実際は培養検査を待つ間にも治療を始めることがほとんどです。
また、毛根の顕微鏡検査で、原因菌を探す方法もあります。これはその場でできる検査ですが、やはり精度があまり高くないため、顕微鏡検査で原因のカビが見つからなくても、獣医師が総合的に皮膚糸状菌症だと判断した場合は、その治療を進めることもあります。
皮膚糸状菌症にかかると、中には自然に治ってしまうケースもありますが、通常は数ヶ月間、あるいはそれ以上の治療が必要になります。
皮膚の病変が一ヶ所だけ、あるいは数ヶ所だけの場合は、塗り薬で治療することもありますが、皮膚糸状菌症の原因となるカビは、目に見えないレベルで全身に広がっていることがほとんどです。そのため、多くの場合は飲み薬や薬用シャンプーによる全身的な治療を行います。
これらの治療では、主に『抗真菌薬』と呼ばれるカビに対して効果の高い薬を使います。しかし、抗真菌薬は副作用が強いものも多く、中には肝臓への障害や貧血など、重度な副作用を引き起こすものもあるため、使用には細心の注意が必要です。
また、治療を行うことで、痒みやフケといった症状は徐々に改善していきますが、見た目が良くなったからと言って、治療をやめてしまうと簡単に再発してしまうのが、この皮膚糸状菌症の厄介なところです。ですので、見た目で判断せず、治療後の真菌培養検査で見つからなくなるまで、治療を継続することが重要になります。しかしそれは通常1ヶ月以上かかることがほとんどです。
つまり、治療には犬の体に負担の大きい薬が必要にも関わらず、その治療が長期間続くため、皮膚糸状菌症の治療は大きなリスクを伴う治療となります。
皮膚糸状菌症は、他の皮膚病と比べて、割と子犬と高齢犬に多く見られます。皮膚糸状菌症の原因となるカビは、健康な犬にも多少は存在しています。しかし、それらのカビは皮膚などに特別な異常を引き起こすことはありません。ではなぜ、通常は病気にならないカビが、感染を起こしてしまうのでしょうか?
以前は、衛生環境が不潔で、カビが大量に発生している中で感染するケースがあったようですが、今ではそのような感染はほとんど見られません。
その一方、犬の免疫システムの異常がカビの感染リスクになると考えられています。健康な犬では、たとえ皮膚にカビが存在していても、自分自身の免疫力で感染が起こらないように、うまく対応することができます。しかし、免疫システムがまだ十分に発達していない子犬や、免疫力が低下してしまった犬は、皮膚のカビに対して抵抗する力がないため、感染が起きてしまいます。
さらには子犬や高齢犬以外でも、ステロイドや免疫抑制剤を長期間投与されている犬では、免疫力が低下していまいますので、皮膚糸状菌症にかかりやすくなります。特にアトピー性皮膚炎では、ステロイドの量が多くなることがあり、注意が必要です。また、免疫介在性溶血性貧血と言った免疫性疾患、あるいは腫瘍性疾患(ガン)でも、大量のステロイドを使うことも多く、やはり皮膚糸状菌症のリスクは高くなってしまいます。
このように皮膚糸状菌症を予防するには、犬の免疫力をいかに高く保つかが重要になります。では、犬の免疫力を高めるにはどのような方法があるでしょうか。
犬も人間と同じようにストレスがかかると、免疫力を抑制するホルモンが分泌されます。これらは一時的なストレスであれば、ほとんど問題にならないのですが、長期間ストレスがかかってしまうと、体全体の抵抗力が下がってしまい、皮膚糸状菌症のリスクが高くなります。
落ち着いて睡眠がとれる環境づくりや適度な運動ができるようにしてあげてください。
肥満は皮膚病のリスクを増大させることがわかっています(他にも関節炎や心臓病など)。肥満状態では、体内で様々な以上が生じ、その一つに免疫力の異常があります。ですので、皮膚糸状菌症だけでなく、様々な皮膚病のリスクを避けるためにも、犬を適正体重に保つようにしてあげてください。
最近は、犬用のサプリメントでも免疫力を高める(免疫力の低下を抑える)高品質なものが多く取り扱われています。ドッグフードだけでは、なかなか免疫力を高めることは難しいため、こういったサプリメントを積極的に取り入れてあげたいところです。
とはいえ、免疫力を高めるサプリメントも実に様々な種類がありますので、どれを選ぶか迷ってしまうことも多いと思います。
そこで、個人的には、皮膚糸状菌症に対しては『キングアガリクス』を強くお勧めします。キングアガリクスは、人でも使用されているサプリメントですが、実に多くの医学的な研究が行われ、その成果が医学論文に報告されている、非常に信頼性の高いサプリメントです。
その研究報告の中には、『キングアガリクスが人の病原性真菌に対する予防効果を示す可能性がある』というものもあります。つまり、キングアガリクスが皮膚糸状菌症の原因である真菌に対する予防効果を期待することができるのです。
もちろん、これは人での研究結果ですが、皮膚糸状菌症のような病原性真菌は、犬でも同じようなメカニズムで感染すると考えられています。ですので、犬の皮膚糸状菌症に対しても十分な予防効果が期待できると考えており、皮膚糸状菌症の予防として、キングアガリクスの導入をお勧めします。
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犬の皮膚糸状菌症は、子犬や高齢犬、さらにはステロイドや免疫抑制剤をしようしている犬で多く見られるカビによる感染症です。その治療には、副作用の強い薬が必要で、また長期間の治療が必要になることも多いため、日頃から、免疫力アップに努め、真菌感染を予防することが大切です。
執筆者
西原 克明(にしはら かつあき)先生
森のいぬねこ病院グループ院長
帯広畜産大学 獣医学科卒業
略歴
北海道、宮城、神奈川など様々な動物病院の勤務、大学での研修医を経て、2013年に森のいぬねこ病院を開院。現在は2病院の院長を務める。大学卒業以来、犬猫の獣医師一筋。
所属学会
日本獣医学会、動物臨床医学会、獣医がん学会、獣医麻酔外科学会、獣医神経病学会、獣医再生医療学会、ペット栄養学会、日本腸内細菌学会
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