獣医師執筆
日本動物愛護協会 常任理事 獣医師 須田沖夫先生
犬・猫の病気で皮膚疾患は外耳道炎と共に多く見られます。
皮膚病の症状は、かじる、赤くなる、毛が抜ける、こする、湿ってくる、落ち着かなくなる、などいろいろな症状を起こします。
皮膚病の原因は様々で、そのため診断をしっかりして、それに適した治療が必要です。
飼い主は獣医師の診断を受けるとき、その犬猫はいつから、皮膚を舐め、咬み、毛が抜け、赤くなり、出血したかなど、発生時の日時、環境の変化、食事の変更、他の動物との接触、外出など具体的に記載して報告してくれると検査、診断に役立ちます。
また、食べ物についてはフードの変更、人間用の食事を与えた、落ちたものを食べた、外出時に草むらに鼻をつけたり入ったりした、暖房、服の変更、シャンプー、トリミング、さらに飼い主も同様の皮膚炎を起こしているなど。これらから皮膚炎の原因究明の検査方法が違ってきます。
皮膚炎の原因の多くは、感染症(細菌、リケッチア、寄生虫)、アレルギー(食事、化学物質)、精神面(ストレス、環境変化)、免疫関連やホルモン変化などがあります。
指の間を舐めているのは外部刺激(化学物質)、外傷性、外部寄生虫やストレス等の可能性があるので、患部の皮膚表面からの液体、皮膚内からの組織などをこすり取って調べるので出血もします。
取り出したものを染色して顕微鏡で調べ、白血球が多くあれば炎症であり、その中で好中球が主体であれば細菌感染症の可能性が高いです。好酸球が多く見られればアレルギーや寄生虫の可能性が高いです。さらにダニなどの寄生虫が見つかれば確定診断になります。さらに数日間培養することもあります。
前足をよく舐めて、円形の脱毛症で赤くなっている場合、ストレスの可能性が高いですが、炎症として細菌感染も起こしているので抗生剤や消炎剤の投与と共に、舐めることが出来ないようにカラーをつける場合もあります。
頭周辺から首、胸などが痒くなり、赤くなり、脱毛が広がっていると外部寄生虫の疥癬の可能性もあります。その時、飼い主の腕や腹部に赤い斑点があり、痒い時は疥癬の可能性が高まります。脊部、後肢などの場合はノミの可能性もあります。
シャンプーやトリミングの後に急に痒みが出て脊部、腹部が赤くなった場合はシャンプー液が残っていたり、体質に適していない場合です。
全体的な痒み、赤みなどは食事の変更やストレスの可能性があります。
この様に皮膚病の原因はいろいろあり、その原因に適した治療法が必要です。
皮膚炎として炎症を起こしている場合は、初期治療として抗生剤や消炎剤の投与が必要です。数週間の投与で改善してくれればいいのですが、治療後しばらくして再発する場合は、再度原因究明が必要になります。
飼い犬、飼い猫と日常の観察と正しい飼い方が重要です。
*公益財団法人 日本動物愛護協会 常任理事 獣医師 須田沖夫先生 に記事を作成して頂きました。
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