動物看護士・トリマー執筆
執筆者:山之内さゆり先生
動物看護士、トリマー
胴長短足が魅力的なダックスフンドは人気犬種トップクラスですよね。
しかし、実はダックスは皮膚が弱い子が多くその影響でマラセチア皮膚炎になりやすかったりするのです。
そこで、今回はダックスのマラセチア皮膚炎の原因・症状・治療法についてお教えしていきます。
ダックスのマラセチア皮膚炎の大きな原因は、生まれつき皮膚が弱い犬種であるということがあげられます。
マラセチア皮膚炎は原因となっているマラセチア酵母菌が異常に増殖して起こりますが、このマラセチア酵母菌は常に皮膚に存在しているものなので、治療によって全滅させることは不可能です。
むしろ、マラセチア酵母菌のような常在菌といわれる菌がいてくれるおかげで、他の菌の感染などから体を守ることができています。
しかし、生まれつき皮膚が弱いダックスは乾燥やアレルギーなど、さまざまな刺激がカギとなってマラセチア酵母菌の数を異常に増やしてしまい、結果としてマラセチア皮膚炎を発症させるのです。
ダックスはもともと皮膚が弱い犬種ですが、具体的にどのような皮膚病を抱えやすいのか少しご紹介します。
これらの皮膚疾患が基礎疾患となってマラセチア皮膚炎を起こしやすくしてしまうので、まずはこうした基礎疾患といわれる大元となる原因を治療するようにしましょう。
食事に含まれるたんぱく質に反応して炎症・痒み・発疹・嘔吐・下痢など、アレルギー反応を起こすアレルギーです。
アレルギー起こすタンパク質を特定するには専門の検査が必要ですが、そのタンパク質ひとつひとつを排除するのはかなり大変なので、動物病院で処方される専用のアレルギー食で対処してアレルギーを防ぎます。
アレルギー食にはいくつか種類があるので、どのアレルギー食をよく食べるか?食べた後便の状態など異常はないか?というのをサンプルを使って観察し、問題なくよく食べるアレルギー食を2ヶ月程度与え続け経過観察。
2ヶ月後アレルギー症状が改善されていればそのままアレルギー食を与え続け、皮膚や消化器官などにアレルギー反応が出ないようにしていきます。
ノミが吸血するときの唾液に含まれるたんぱく質に反応して、発疹や強い痒み・脱毛といったアレルギー反応を起こします。
ノミアレルギーはノミの寄生数は関係ないので、防ぐためにはノミの駆除・予防を通年続けることがとても重要です。
また、ノミは人にも発疹やかゆみなど悪い影響を及ぼすので、飼い主さん家族も含めて安全に暮らせるように駆除・予防を心がけましょう。
体の免疫力の低下や乾燥などによって皮膚のバリア機能が低下し、ハウスダストや家ダニ、ストレスなどさまざまな原因によって発疹と強い痒みを起こします。
アトピー性皮膚炎は体質的なものが大きいですが、季節の変わり目に発症する子もいれば通年薬でコントロールしなければいけない子も少なくありません。
主な原因はわかっていませんが、皮膚のバリア機能の低下によってさまざまな刺激に過敏になってしまい、アトピーを引き起こしているのは間違いありません。
ですから、質の良い食事・専用のシャンプー剤や保湿系のシャンプー・トリートメントの使用・免疫力の向上といったケアを日常的に行うようにしましょう。
免疫力の低下やアトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎などが原因となって、皮膚の常在菌であるブドウ球菌が増殖し、痒み・炎症を起こします。
クレーターのような円形の炎症・脱毛が見られるのが特徴ですが、ひどくなると二次感染などを起こすこともあるため早期治療をしましょう。
では、もしダックスがマラセチア皮膚炎になってしまったらどのような治療するのか?その治療法についてご紹介していきます。
抗菌効果のある内服薬を使って体の内側からマラセチア酵母菌を殺菌していきます。
このとき、ひどい炎症や強い痒み・他の感染などもあれば合わせて抗炎症剤や抗生剤など、適切な薬を使って同時に治療を進めていきます。
マラセチア酵母菌を殺菌する効果のある専用の薬用シャンプーを使って、外側からマラセチア酵母菌を洗浄・殺菌していきます。
マラセチア皮膚炎は増えすぎたことで皮膚に刺激や炎症など悪さをしてしまうので、専用の薬用シャンプーを使って増えすぎたマラセチア酵母菌を減らしていくという形をとります。
また、ここで使用する専用の薬用シャンプーは動物病院で診断・処方されるものなので、自己判断でネットから購入したり使用しないようにしてください。
薬用シャンプーというとつい軽く考えてしまいがちですが、薬をシャンプーという形にしているだけなので、使用方法などを間違えば症状が悪化するどころか体調に悪影響を及ぼすこともあります。
先述したように、ダックスのマラセチア皮膚炎を発症させる大元の原因として基礎疾患というものが存在する場合があります。
たとえ、増えすぎたマラセチア酵母菌を減らして治療したとしても、基礎疾患を治療しなければ意味がありません。
健康的な皮膚の維持をするためにも、基礎疾患がある場合は合わせて治療をしてマラセチアが増えすぎないように管理するようにしましょう。
ダックスは肌が弱い犬種ですが、だからといって弱い部分をカバーできないわけではありません。
逆に、マラセチア皮膚炎自体はもともと皮膚に存在する常在菌なので完全に予防するといったことは難しいですが、それでも皮膚の免疫力を上げることで異常に増えてしまう状況を減らすことは可能です。
そして、皮膚の免疫力を上げるためには内側と外側からの同時ケアが大事であり、それらは日常的に続けることで効果を大きく発揮します。
まずは毎日の食事から見直してみましょう。特別アレルギーなどもっていないのであれば、アレルギー食に限らず良質なドッグフードを与えてあげてください。
良質なドッグフードかどうかの判断としては、1kgあたり1,000円程度を目安に考えるといいでしょう。
高ければ何でもいいというわけでもありませんが、1kg1,000円を目安にしておくことで少なくとも低品質なドッグフードにあたることはほぼありません。
それは、原料をどのような品質のものを使っているかが値段・料金に影響しているため、必然的に高いフードや安いフードよりも高品質になるのです。
良質な原料を使ったドッグフードを毎日の食事として与えることで、細胞から元気で健康的な状態にすることができます。
サプリメントにもいろいろありますが、ここで選ぶサプリメントは体の免疫力を高めてさまざまなトラブルに抵抗できる力を身に付けらえるものを選びましょう。
自分ではどんなサプリメントを選べばいいのかわからないという方も少なくありませんので、動物病院で獣医師に相談するか質の良いアガリスクを使ったサプリメントを使うのもおすすめです。
ただし、こちらも低品質のものではなく良質なサプリメントを選び使うことがとても大事になります。
また、サプリメントも毎日与え続けることに意味があるのでおいしく続けやすいものを選んであげましょう。
ダックスの皮膚は乾燥やアレルギー、アトピーなどさまざまな刺激を受けやすく弱い傾向にあり、そのためマラセチア皮膚炎にもかかりやすい犬種になっています。
しかし、皮膚のコンディションを整え免疫力を高めてあげることで、マラセチア皮膚炎の発症率を下げることは可能です。
もちろん、マラセチア皮膚炎だけではなく免疫力が高ければそれだけ多くの病気にも強い体になるため、日々の健康のためにもぜひ毎日の食事やサプリメントなども活用してみましょう。
執筆者:山之内さゆり先生
トリマー、動物看護士
約10年間動物病院でトリマー兼動物看護士として勤務。
現場で得た知識と経験を情報として発信し、飼い主さんとペットが幸せに暮らせるためのお手伝いをしていきたいと思います。
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