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ビーグルが指間炎になる原因はなに?治療と予防法は?

動物看護士・トリマー執筆

執筆者:山之内さゆり先生

動物看護士・トリマー

ビーグルの指間炎について

ビーグル

ビーグルの指間炎はビーグルの飼い主さんにとって、今すぐにでもどうにかしてあげたい皮膚トラブルですよね。

 

ですが、なぜビーグルは指間炎になってしまうのか?その原因がわからないと対処も予防もしようがありません。

 

そこで、今回はビーグルが指間炎になる原因・治療・予防法についてお教えしたいと思います。

 

ビーグルが指間炎になる原因はなに?

ビーグルはどうして指間炎になってしまうのか?その原因が分かれば自宅でできる対処法や予防法も見えてくるので、まずは先に考えられる原因からご紹介していきます。

 

・トリミングによるバリカン負けや傷

ビーグルは毛が短い犬種ですが、肉球からはみ出している毛や肉球の中の毛まで基本的にはバリカンでカットします。

 

しかし、皮膚がもともと強くない体質だとバリカンを当てることでバリカン負けという炎症を起こしたり、ちょっとした傷がつきやすいことがあります。

 

また、体質ではなくトリマーの腕によってはバリカンでわずかな傷がつき、ビーグルにとってかゆみのような違和感から舐めてしまい、それが悪化して指間炎になることもしばしば。

 

・爪の脱臼や伸びすぎ

爪が伸びすぎていることで爪の根元が脱臼してしまったり、気付かない間に伸びた詰めが指や肉球に刺さってしまうことがあります。

 

脱臼も爪によるケガも定期的に爪を短くしておくことで防げるので、最低でも月に1回は必ず爪を切るようにしましょう。

 

また、お散歩にたくさん行く子でも狼爪(親指の爪)は床に付かないのでアスファルトなどで削れることはないので、他の指の爪が短くても狼爪のチェックは怠らないようにしてください。

 

アレルギーなどの皮膚疾患

指間炎も皮膚疾患なのですが、そもそも指間炎を発症させている皮膚疾患(皮膚病)が別に潜んでいる可能性もあります。

 

そして、ビーグルが指間炎を引き起こす皮膚疾患としてあげられるのが食物アレルギーやアトピー性皮膚炎、乾燥肌、脂漏症などがありますが、特に食物アレルギーやアトピー性皮膚炎になると足の裏や指の裏が赤く炎症を起こすことがほとんど。

 

そして、食物アレルギーやアトピー性皮膚炎は強いかゆみがあるので執拗に舐めることが多くなり、それが指間炎となってさらに悪化させることもあります。

 

・足を濡れたままにしている(濡れタオルやシャンプーの後など)

ビーグルは毛が短いので濡れていてもすぐ乾くと思って、つい足を濡れたままにしてしまいがち。

 

もちろん、びしゃびしゃではなくある程度タオルで拭く飼い主さんがほとんどですが、それでは不十分。

 

足が湿っている状態が続くことで湿気で雑菌が繁殖し、それが原因で指間炎になりやすくなってしまいます。

 

雑菌はジメジメした環境を好むので、足の裏や指の間がそんな状態にならないように十分注意しましょう。

 

免疫力・抵抗力の低下

ビーグルの免疫力・抵抗力が低下していると、さまざまな菌やウイルスに対しても弱くなってしまいます。

 

そのため、ちょっとした刺激にも反応しやすくなってしまいいつも以上に指間炎になりやすくなるのです。

 

しかも、免疫力・抵抗力が低下した状態で指間炎になれば弱った皮膚の状態で過ごすわけなので、さらに雑菌が増殖し悪化することも少なくありません。

 

ビーグルの指間炎の治療法

ビーグルが指間炎になってしまったらできるだけ早く動物病院へ連れて行き、適した治療をしてあげることが大切です。

 

そのまま放っておくと指間炎が悪化して二次感染、三次感染を引き起こすこともありますし、あまりにもひどくなればそれだけ治療も時間がかかるので注意してください。

 

では、ビーグルが指間炎になったらどのような治療をするのかご紹介します。

 

抗生剤や抗炎症剤の処方

指間炎による雑菌の繁殖を防ぐために抗生剤を使いますが、症状によっては抗炎症剤なども合わせて使うことがあります。

 

症状が軽ければシンプルなお薬で済みますが、ひどくなればなるほどさまざまなアプローチが必要になるため、結果的に使う薬も増えてしまうことに。

 

できるだけ、負担をかけずに治療ができるようにするためにも早めの診察が大事です。

また、使う薬は多くの場合塗り薬を使いますが、原因や症状によっては内服薬も合わせて使用することもあります。

 

薬用シャンプーで洗浄殺菌

指間炎になったからといってシャンプーをしないということはありませんが、シャンプーのときに使うシャンプー剤を専用の薬用シャンプーにしてあげることで、洗浄と同時に治療をすることもできます。

 

ただし、一口に薬用シャンプーといっても種類はさまざまで、どの薬用シャンプーを使うかは獣医師の診断と処方で決まることを忘れてはいけません。

 

仮に以前指間炎になって処方された薬用シャンプーを持っていたとしても、もしその指間炎を起こしている原因が違えば、その薬用シャンプーは適さない可能性がでてきます。

 

そうした場合に独断で使ってしまうと、指間炎が治らないばかりか症状を悪化させてしまうこともあるため、必ず診察・診断・処方のプロセスを踏まえることを覚えておきましょう。

 

ビーグルが指間炎にならないようにするための予防法

ビーグルが指間炎になっても治療をすれば治すことはできます。しかし、なってから治療をするよりも、指間炎にならないように予防してあげるほうが負担なく過ごすことができます。

 

では、ビーグルが指間炎にならないようにするための予防法をいくつかご紹介しましょう。

 

湿り気を残さない

濡れタオルで足を吹いたり洗ったりしたときに、湿ったままにしておくと雑菌が繁殖してしまいます。

 

雑菌が繁殖することで皮膚に炎症が起こったり、もし小さな傷などがあればその傷に対して感染症を起こしてしまうこともあるため、指間炎を予防するためにもしっかり乾かして湿り気を残さないようにしましょう。

 

傷をつけない

足の裏や指の間に傷がつくことでビーグルは気にして舐めてしまい、指間炎を発症させてしまいます。

 

そこで、傷がつかないようにお散歩のときは犬用の靴を履かせるというのもひとつの手段ですが、いきなり靴を履かせると嫌がって動かなくなってしまうことも多いです。

 

これはトレーニング次第で慣らすこともできますが、もうひとつ足の裏や指の間に傷をつけてしまう可能性としてあげられるトリミングのバリカンにも目を向けてみましょう。

 

もし皮膚がもとからあまり強くないのであれば、足裏のバリカンは肉球から出ている毛だけをカットしてもらうか、滑るほど伸びていないのであれば触らなくてもいいくらいです。

 

また、トリマーの腕もかかわってくるところですが一言「傷がつかないように優しくカットしてください。」とお願いすると、いつも以上に注意してトリミングをしてくれるのである程度予防につなげることができます。

 

ストレスをためない

ストレスをためこむと指や足の裏を舐めるという行動をとるようになります。ストレスと一口にいってもさまざまですが、暇で退屈をしているときなどはよくそうした行動が見られますね。

 

こうしたとき、舐めないようにエリザベスカラーなどをつかって物理的に舐めさせないようにすることも可能ですが、根本的に解決するためには暇で退屈といった気持ち、つまりストレスを発散させてあげることが大切です。

 

ビーグルがストレスで指や足の裏を舐めてしまわないように、たくさんお散歩や運動をしたり、頭を使った精神的トレーニングをするなどしてあげるようにしましょう。

 

免疫力や抵抗力のアップ

足に傷をつけないようにしたり舐めるという行動をとらないようにすることも大事ですが、体の免疫力や抵抗力が低いとちょっとしたことですぐに症状が出てしまったり、指間炎が悪化してしまうこともあります。

 

また、指間炎だけでなくさまざまな病気に対しても弱くなってしまうため、動物病院にお世話になる回数も多くなるでしょう。

 

しかし、免疫力や抵抗力が高いと細菌やウイルスに対して戦う力が強くなるため、指間炎にもなりにくくなったとしても治るまでの時間がぐっと早くなります。

 

免疫力や抵抗力をアップさせる方法としては、毎日の食事を良質なものにすることやサプリメントを使って健康をサポートするのもいいですね。

 

サプリメントは動物病院で相談して選んでもらうか、良質な原料を使ったアガリクスのサプリメントを与えるのもおすすめです。

 

ただし、食事もサプリ目とも品質は値段に反映されるのであまりにも安いものはおすすめできません。

 

安くても効果がなければ使ってないのと同じですし、場合によっては逆に体に悪影響を及ぼす可能性もあります。

 

そのことを踏まえたうえで使いやすいものを選んであげるといいでしょう。

 

ビーグルが指間炎になる原因はなに?治療と予防法は?まとめ

ビーグルは毛が短い犬種ということもあり、つい日ごろのケアで手を抜いてしまいがち。しかし、それが原因で雑菌が繁殖し指間炎になってしまうことも少なくありません。

 

また、体の免疫力や抵抗力も下がった状態だと指間炎や他の病気にもなりやすいだけでなく、症状の悪化や治癒の遅れにもつながります。

 

ビーグルが指間炎に悩まされず、もし指間炎になってしまってもできるだけ早く治してあげるためには、日ごろから正しいケアをして同時にサプリメントや良質な食事で内側からサポートしてあげることが重要です。

 

少しずつでいいので、できることから取り組み指間炎に悩まされない素敵な毎日を過ごせるようにしてあげましょう。

 

執筆者:山之内さゆり先生

山之内先生

トリマー、動物看護士

10年間動物病院でトリマー兼動物看護士として勤務。

現場で得た知識と経験を情報として発信し、飼い主さんとペットが幸せに暮らせるためのお手伝いをしていきたいと思います。

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  • 森のいぬねこ病院グループ 院長

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  • 増田国充先生

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