獣医師執筆
日本動物愛護協会 常任理事 獣医師 須田沖夫先生
冬鳥が北に帰り、花が咲き出し花粉も舞っています。蝶はじめ昆虫も活動をはじめます。
南からは夏鳥も多く渡ってきます。
気温の変化も大きい季節ですので、愛犬・愛猫の健康管理に十分気をつけましょう
天気の良い日には開けた窓から、新鮮な空気と共に花粉や昆虫なども室内に入ってきます。散歩のときにいろいろな物に触れる時期です。遠出をしたり、帰郷する人も多く、犬猫も同行することが増えています。
花粉症の人と同様、犬猫もクシャミ、鼻汁、結膜充血、目ヤニや皮膚炎として、赤味、かゆみ、脱毛を起こすこともあります。
これらの症状が見られたら早期に病院に行き、よく説明し検査をして、治療しないと悪化し、症状が激しくなると、治療に時間がかかります。
ノミ、マダニ、そして蚊なども活動期に入り、対策が重要です。これらの虫は動物だけでなく人にも寄生し、吸血します。その時、いろいろな病気を伝染させます。
ノミの成虫は犬猫や人にたかり、吸血し、数日後には産卵を始め、床、布団、地面などに卵を落とします。早いものは数日間で孵化して、幼虫になり、ゴミ等を食べて数週間でサナギになり、1週間から半年で動物や人の動きによる振動、動物と環境の温度、生き物の呼吸による二酸化炭素等に反応し、すぐに羽化してそばにいる犬猫や人に飛び移り、吸血を始めます。多量のノミに吸血されると貧血を起こしたり、人に猫ひっかき病を感染させることもあります。
また、時に瓜実条虫の幼虫を体内に持つノミを食べてしまうと感染し、体内で生成、20~30cmまで成長し、体節を便に排出することもあります。
マダニは葉の裏などにおり動物や人が近づくと察知して飛び移ります。吸血時も痛みや痒みなどがないので気付かないことが多く、十分吸血すると大きくなるので、急に(黒色)腫瘤が出来たと思って病院に行き診断されます。吸血時にいろいろな病原菌を出します。
バベシア症、へパトソール症、そして人にも感染するライム病などの感染症を伝染させます。
ノミ、マダニは駆虫剤が各種ありますので、寄生予防のため定期的に駆虫剤を投与することが愛犬、飼い主、そして周辺の動物、人に役立ちます。
蚊は動物から吸血し、栄養を取って繁殖します。その時多くの病気を動物や人に伝染させます。2014年、日本でも蚊が媒介するデング熱が東京を中心に確認され、いくつかの公園などが閉鎖され、行事も中止になりました。
2013年、2016年、蚊が媒介する熱帯、亜熱帯地方のジカ熱に感染して日本に帰国人々がおり、その人の血を吸血する蚊が別の人に再吸血すると国内でも流行する可能性があります。
犬において蚊が媒介する犬糸状虫症(フィラリア症)は温暖化のため、以前に比べ東北、北海道まで広く分布しています。
犬の死亡年齢は30~40年前は3~5歳位で、フィラリア症での死亡は20%弱でしたが、2015年、ノーベル賞を受章した大村智先生が発見したイベルメクチンの寄生虫駆除でフィラリア症での死亡率は急激に減少しました。しかし、近年フィラリア症対策をしない飼い主が増加し、フィラリア症が増加しているようです。犬フィラリア症は咳が出る、元気がない、食欲がない、呼吸が苦しい、お腹が膨れる、血尿をするなどから死に至ります。現在はいろいろな駆虫剤がありますので、蚊の発生の前後から月1回ないし数ヶ月おきの投与でフィラリア症予防ができます。治療より予防の方がペットも飼い主も楽です。
寒さが薄れ暖かくなると換毛の時期です。毛がいっぱい抜けるので毎日ブラッシングをして、ムダ毛をとってやると皮膚を健康にし、皮膚病の予防になります。
暖かくなるとカロリー消費も減少しますので、体脂肪を減らし、体重を標準から少し低くすると心臓や関節などの負担が軽くなり、運動障害の予防にもなります。
太っているのが可愛いとか、時間がないとか、小型犬だからなどと言って散歩をしない飼い主が増えています。
散歩をして運動をすることが愛犬のみでなく、飼い主の心身や社会的にも役立っています。
また、4月からは飼い犬は毎年狂犬病予防注射をすることが法的に決まっています。万一接種しないと罰金を受けることもあります。
愛犬の健康管理と、飼い主始め多くの犬猫や人のために予防ワクチン、駆虫剤投与など十分に愛犬、愛猫、そして飼い主のために受けてください。
*公益財団法人 日本動物愛護協会 常任理事 獣医師 須田沖夫先生 に記事を作成して頂きました。
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