猫の口内炎とは？愛猫が口内炎になったときにできるケアを紹介

執筆者：國澤莉沙先生

愛玩動物飼養管理1級、ホームドッグトレーナー1級、小動物看護士

猫の口内炎について

人も口内炎ができると食べ物を食べた際にしみたりして、とてもつらいものです。実は猫ちゃんにも口内炎はできます。

そもそも口内炎とは口の中やその周辺の粘膜にできる炎症の総称であり、ポツっと一つできるものから複数できたりとその症状は様々です。愛猫が口内炎で苦しんでいる場合にはどのようなケアをすれば良いのか紹介します。

主な症状とは？

猫の場合は口内炎ができるとその痛みから食欲不振になることがあります。また口内の炎症がひどいと潰瘍ができてしまい、口内から出血してしまうこともあります。

さらには、唾液を嚥下するのか辛くなるためよだれが多くなり、口内の細菌が増えることで口臭がひどくなる場合があります。

また、猫は綺麗好きなので舌を使って毛づくろいをしますが口内炎が舌にできてしまうと毛づくろいをする際に口内炎に当たってしまい痛みが生じるので、毛づくろいをしなくなる嫌がるなどの行動が見られます。

愛猫に口内炎が疑われる場合には、速やかにかかりつけの動物病院を受診してみてもらいましょう。

猫の口内炎の原因

口内炎には様々な原因があり、口内炎ができてしまった時には原因を早く特定して治療してあげることが大切です。口内炎は悪化してしまうと食欲不振から衰弱してしまったり、脱水を起こしてしまう危険もあります。獣医さんの診察を受けて適切な治療をすることが必要です。猫の口内炎の考えられる原因を紹介します。

①免疫機能の病気、腫瘍などの病気

猫の口内炎の原因の一つとしてあげられるのが、免疫力の低下です。また、免疫異常によりホルモンが活性化しても口内炎の原因になります。

特に、糖尿病や甲状腺機能低下症や甲状腺機能亢進症を治療中の猫ちゃんは口内炎になりやすくなります。

また、腫瘍などの病気の場合には身体のバリア機能も低下してしまうので炎症を起こしやすく口内炎になりやすくなります。

②虫歯や歯周病

猫ちゃんの歯に歯石がついていたり、虫歯や食べかすなどがあると、口腔内の菌が一気に増殖してしまい口内炎になります。

歯周病は放っておくと、頰に穴が開いたり炎症が内臓にいってしまったりと深刻な症状がでてくる恐ろしい病気です。定期的に愛猫の口内の様子をチェックするようにします。

③ウィルスなどの感染症

1番口内炎の原因になるのはウィルスなどの菌が口内の傷口などから入り込み、感染症を起こして口内炎になります。

猫が口内炎になりやすいウィルスとして猫カリシウィルスなどがあります。特に口内は粘膜部分が多く、柔らかいので歯によって傷ができやすく炎症を起こしやすいデリケートな箇所なので念入りにチェックするようにしたい場所です。

口内炎の治療方法

口内炎の主な治療は炎症を鎮めるための投薬治療や傷がある場合には、外用薬を塗って口内の細菌を減らす治療をします。感染症などの原因により異なりますが、抗生物質を服薬して炎症を鎮めます。

また、痛みなどが強い場合にはステロイド剤を併用して治療を行います。獣医さんと相談しながら適切な治療を行います。

また、歯周病などや病気が原因の場合には根本的な治療を行い口内炎にならない身体作りをしていきます。口内炎は免疫力が下がるとできやすくなるため、栄養バランスがしっかりとした食事を摂って身体の免疫力をアップさせることも大切です。

免疫力アップのためにはサプリメントを！

普段の食事ではなかなか補うことのできない栄養素を摂取するのにサプリメントは有効です。口内炎を予防するためにもバランスよく栄養を摂取することは大切です。

栄養素が高いバランス型のサプリメントや老廃物を身体から出すサポートをしてくれるアガリクス茸を使用したものもおススメです。アガリクス茸は免疫サポートや皮膚病にも効果が期待できます。ビタミン・ミネラルが豊富ですので、病気の予防だけではなく健康な身体づくりをサポートしてくれます。

猫ちゃんにとってもビタミン・ミネラルは大切です。若い時から定期的に摂取して身体の免疫力を高めておけば様々な病気に対応できますね。

猫の口内炎のときに気をつけたいこと

口内炎を発症した場合に早く治るように気をつけたいポイントをまとめました。症状緩和のために参考にして下さい。

①身体の免疫力を高める

口内炎は身体が弱っているとなりやすいので、上記で紹介したようにサプリメントなどを活用してバランスの良い食事を心がけましょう。また、適度な運動をして身体の新陳代謝を高めることが大切です。

さらには愛猫が口内炎で食欲不振や脱水の症状がある場合には、動物病院などで点滴等の処置をしてもらうと良いでしょう。口内炎でご飯を食べずらい場合には水分の多いウェットフードを利用したり、スープを与えると良いでしょう。

少量でも栄養をまかなえる高カロリーの医療用フードも有りますので、愛猫の状態に合わせて利用すると有効です。

②歯周病等の原因の根治を！

口内炎は歯周病などの他の病気が原因になっていることがあります。口内炎ができにくい環境を作るためにも、口内炎と同時に原因になっている歯周病などを治療するようにしましょう。

一度口腔内に虫歯や歯周病ができてしまうと定期的に口内炎になってしまう可能性もあります。愛猫の口内のチェックを定期的に行い、歯石などが認められた場合には放置せずに、動物病院で処置してもらうのがおススメです。

歯石の除去は全身麻酔を使うことがあります。老齢など不安な場合には獣医さんに相談して決めましょう。

③愛猫のペースで治療を

人でも口内炎は辛いものであり、猫ちゃんにも多大なストレスを与えるものです。普段は温厚な愛猫もストレスからイライラしたり、口内を触られることを嫌がります。

無理に口の中をのぞいたり、外用薬を塗ると噛まれる危険もあります。自宅でのケアは無理なく行うようにしましょう。

薬はエサに混ぜたり、錠剤は砕いて粉状にしてオブラートなどに包んで与えると良いでしょう。どうしても難しい場合には獣医さんに相談して愛猫の性格にあわせた治療をしましょう。

そしてうまく治療させてくれた場合には、おやつなどを与えてなるべく良い印象を与えるとその後も治療がしやすくなりますよ。また、食欲がない場合には液状のエサなどを与えて栄養補給するようにしましょう。

愛猫が口内炎にならないために、予防や日ごろのケアの3つのポイント

猫の口内について紹介してきましたが、できれば日常から予防をして口内炎を避けたいものです。日頃からできる予防についてご紹介します。

①デンタルアイテムを使用しましょう

口内を清潔に保つことは、口内炎を予防するために必要です。現在はペット用のデンタルケア商品もペットショップなどで手軽に入手できます。

ギザギザした歯磨き機能があるおやつなども販売していますので、直接愛猫の歯を磨くのが難しい場合はおやつなどでデンタルケアを取り入れてみるのがおススメです。

近年では液体の歯磨き粉もあり、舐めるだけでも効果が得られる商品もあります。猫ちゃんの性格に合わせて歯磨きの仕方を選ぶようにしましょう。もし、愛猫の口内ケアにお困りの際には獣医さんに相談すると良いです。

②飼育スペースを清潔に保つ

口内炎は感染症などが原因で起こる病気です。不衛生な環境は口内炎の原因になる菌が繁殖しやすくなりますので、飼育スペースやご飯スペースは清潔に保つようにしましょう。

また、抜け毛やフケなどは菌のエサになるので、定期的に掃除をして綺麗にしましょう。ペットの掃除には次亜塩素酸水がおススメです。舐めても安心ですし、生ゴミの消臭などにも使用できますよ。

また、直接口に入れる水とフードは常に新鮮なものを与えるように配慮します。特に梅雨時期や夏場は水やフードが悪くなりやすく、最悪フードにカビが生えてしまうこともあります。

鮮度が悪いフードを与えてしまうと下痢をしたり、様々な病気の原因にもなります。ご飯スペースは風通しの良い日陰にするようにして、フードの保管場所も風通しの良い湿気の少ない場所を選びます。

③適度に運動をして代謝をアップ

身体の新陳代謝が悪いと皮脂や汚れが残り、毛穴が詰まります。被毛や皮膚が汚れることで菌の繁殖しやすい環境を作り出してしまうと、顔わまりに汚れが残ってしまい、口内炎にもなりやすくなります。

お部屋にキャットタワーなどを設置して、適度な運動ができるようにしましょう。また、ストレス発散にも有効です。ストレスが多いとさまざまな病気にかかりやすくなります。飼い主さんとのふれあいや運動は愛猫にとって何よりの喜びであり、ストレス発散になります。

また、毎日のふれあいによって皮膚の健康状態もチェックすることができますので、適度な運動は有効です。特にシニア期になり、運動不足になると内臓の機能が低下しやすくなり、筋力も衰えてしまいます。その子の性格によっても異りますがいつでも遊べる環境が必要です。

猫の口内炎まとめ

猫の口内炎の原因や予防方法について紹介しました。口内の問題はデリケートで口内炎になってしまうと愛猫にも大きなストレスがかかってしまいます。また、猫ちゃんが痛がっている姿をみるのは飼い主さんにとっても辛いですよね。口内炎は早期発見が重要です。早めに痛みを取ってあげることでその後の治療もスムーズに行うことができます。

猫ちゃんが口内炎にならないためには、歯周病にならないようにデンタルケアを継続して行うと良いでしょう。歯周病になってしまうと長期で治療が必要になることもあり、口内炎も繰り返す場合もあります。

小さい時から愛猫とコミュニケーションを取って、身体中どこを触っていても大丈夫なように慣れさせておくと安心です。猫の口内炎についてお困りの方の参考になれば幸いです。

執筆者：國澤莉沙先生

愛玩動物飼養管理1級、ホームドッグトレーナー1級、小動物看護士等の資格を所持。

つくば国際ペット専門学校・ドッグトレーナーコースを卒業後、つくばわんわんランドの飼育員として5年間勤務。現在は主婦として、育児をしながら動物系の記事を執筆しております。猫・犬ともに大好きです。