動物看護士・トリマー執筆
執筆者:山之内さゆり先生
動物看護士・トリマー
柴犬は病気になりにくいということを聞いたことがある人もいるかも知れませんが、実は皮膚疾患にかかりやすい犬種だったりします。
そして、柴犬の皮膚疾患のひとつによく見られるのが、指の間や足の裏に炎症を起こす指間炎。
今回は、そんな指間炎から柴犬を守るためにできる予防法となってしまってからの治療法についてお教えしたいと思います。
柴犬は品種改良などのされていない日本に昔からいる犬種ということもあってか、心臓病や腎臓病など特別な疾患になりにくい犬種だと言われています。
もちろん、他の海外からきた犬種と比べてなりにくいというだけなので、絶対にならないというわけではありません。
しかし、そうした疾患になりにくいというだけで、なんだか丈夫な犬種といったイメージになりますよね。
ですが、実は柴犬は皮膚疾患を患いやすく特に指間炎に悩まされるケースは少なくないため、できるかぎりの予防法をご紹介します。
指間炎になりやすいということは皮膚がデリケートになっている可能性が高いため、他の皮膚疾患からも守るためにも良質な食事を与えるようにしましょう。
指間炎の予防に食事?と思うかも知れませんが、食べるものひとつで体の健康に大きく影響するため、まず第一に考えてもらいたいところです。
【良質な食事とは良質な原料を使ったドッグフード】
良質な食事とは、使われている原料が人間も食べることができるくらい新鮮なものであるドッグフードを言います。
新鮮な原料を使っているドッグフードは1kg1000円以上はしますし、原料の表記も魚類・肉類・野菜類…といった『類』でまとめられているのではなく、サーモン・豚肉・りんご・とうもろこし…といったように、詳細に記載されています。
これは、原料に対する自信と信頼の現れであり、何を入れてるか声を大きくして言えないからこそ『類』でまとめて隠していると言っても過言ではありません。
言ってしまえば、何が入っているかわからないドッグフードであるほど詳細な記載はされなくなってくるということです。
【無添加が必ずしも悪いとは限らない】
良質なドッグフードとは良質で新鮮な原料を使ったものですが、添加物の使用・不使用については一概に不使用を選びましょうとは言えません。
というのも、動物病院でさまざまな疾患予防のために作られているドッグフードや、治療のために作られているドッグフードも無添加ではないからです。
もちろん、それらに使われている添加物は多くの試験をクリアし安全性の確かなものを適切な量使われているため、気にせず食べさせてあげることができるのですが、この添加物についても低品質なドッグフードであれば疑問が残ります。
このことからも「添加物がダメ!」ではなく、どんな添加物をどんな目的でどれくらい使っているのか?といった視点で考えるようにしましょう。
もちろん、添加物が心配だという方は無添加で作られたドッグフードもあるため、そうしたものを選んでもいいですね。
【皮膚疾患に配慮したフード】
良質なドッグフードは限られているためそこから選ぶのもいいですが、柴犬の指間炎のことを考えるのであれば皮膚疾患に配慮・特化したドッグフードを選ぶと一番早いです。
ここでも基本は良質な原料を使ったドッグフードですが、皮膚疾患のことを考えて作られたというのであれば、動物病院で取り扱っているものを選ぶと確実です。
ただし、動物病院で取り扱っているフードで皮膚疾患に配慮したものとなると処方食と呼ばれるフードになるため、スーパーやペットショップのように自己判断で購入することはできません。
しかし、逆に言えば動物看護師や獣医師から適切なフードとアドバイスをもらうことができ、フードの切り替えや継続についても気軽に相談することができるため、大きな安心を得ることができます。
また、動物病院で取り扱っている皮膚疾患用のドッグフードは、皮膚アレルギーの治療・予防に使われているものなので、指間炎に限らず皮膚トラブルに強い皮膚へと導いてくれるのもうれしいですね。
柴犬はプードルやマルチーズのように毛の長さをカットする必要はありませんが、皮膚・被毛を清潔に保ち抜け毛を処理するためにも、月に1~2回のトリミングをする必要があります。
その時に使用するシャンプーとトリートメント(コンディショナー)をアミノ酸やセラミドを主成分とした、皮膚を保湿しケアすることを目的に作られたものを選ぶことがおすすめ。
なぜ、アミノ酸やセラミドを主成分にしたものがいいのかというと、そうでないシャンプーは皮膚を保湿するのではなく、皮膚を洗浄することを目的に作られているため必要な皮脂まで洗い流してしまうことがあります。
皮膚が特に弱くない子であれば問題ないのですが、柴犬は指間炎になりやすくどちらかというと皮膚は強くない犬種。
だからこそ、皮膚を洗浄するだけでなく皮膚を保湿しながら汚れを洗い落とすといった、保湿メインのシャンプーを使う方がいいのです。
また、トリートメント(コンディショナー)は洗い流すものよりも洗い流さないものの方が、より高く保湿をし皮膚を健やかに保ってくれます。
【保湿メインのシャンプー・トリートメント(コンディショナー)も質を重視する】
主成分にセラミド・アミノ酸と記載があったとしても、量の割に安いものはフードと同じようにおすすめできません。
というのも、同じセラミドやアミノ酸だとしても1つのボトルに入っている成分の量が、安いものだとかなり薄い状態である可能性が高いからです。
もし、そうしたシャンプーを見つけて安いからと買ってみたものの、「イマイチ保湿効果を実感できない」「フケやかゆみがある」「普通のシャンプーと違いが分からない」、といったようなことがあれば要注意。
本当にしっかりとした量の成分が配合されたものであれば、合う合わないはあったとしても少なからずそうでないシャンプーより保湿効果を実感できるくらいの変化はあるはずです。
【質は確かでも皮膚状況によってはフケが出る】
成分の質が怪しいものは保湿効果の実感があまりないことをお伝えしましたが、質が確かなものでも皮膚状況によっては乾燥があまり改善されないこともあります。
例えば、私が動物病院で勤務しているときに使っていたものでダーマケアから出ているナチュラルシャンプーという保湿をしてくれるシャンプーがありまる。
こちらは洗い流さないアロビーンコンディショナーと併用して使うことで高い保湿を実現してくれるといもの。
しかし、すでにフケやかゆみが出ていたり乾燥肌の場合にはナチュラルシャンプーの保湿力では追いつきません。
そこで、同じダーマケアから出ているアロビーンシャンプーがあるのでそちらに切り替えると、フケ・乾燥が治まり健やかな状態をキープできるというケースも非常に多いです。
つまり、成分も品質も確かなものでも皮膚の状態によってはもうワンランク上のものを使わないといけないこともあるため、普段から皮膚の様子はこまめにチェックしておくようにしましょう。
指間炎になるということは、皮膚のバリア機能が弱っていたり体の免疫力が下がっている可能性を意味します。
食事やトリミングでのスキンケアを意識することでかなり大きな変化を感じることができますが、そうしたケアをしているにも関わらずある日また指間炎になってしまったということも。
そんなときは、皮膚を健やかに保つための底上げとしてサプリメントを使うこともおすすめ。
サプリメントにも皮膚の弱い子に適したものや、体の元気をサポートするものなどいろいろありますが、中でもキングアガリクスのサプリメントは皮膚はもちろん体全体を健やかに保つために効果的です。
皮膚の強くない柴犬だからこそ特に体に取り入れるものには気を付けたいのですが、このキングアガリクスは完全無添加の人工添加物なし100%アガリクスのみ。
それでいて、免疫力・抵抗力を高め体の内側からサポートしてくれる力が強いため、安心して使うことができます。
サプリメントというと本当に効果あるのかな?と思う方も少なくありませんし、確かに即効性があるわけではないので実感しにくいのは仕方ありません。
ですが、続けることで毛並みの変化や体の変化などちょっとした変化を感じ、指間炎にもなりにくくしてくれます。
柴犬が指間炎にならないように可能な限りの予防法をお教えしましたが、もし柴犬が指間炎になってしまった場合の治療法についてもお話します。
指間炎はストレスで足を執拗に舐めてしまったり、小石やバリカンの刃で傷つけてしまったり、アレルギーであったりとさまざまです。
そのため、指間炎だからとそこだけを見るのではなく、何が原因となっているのかを特定しなければなりません。
そのうえで抗生剤や抗炎症剤など症状に合わせて内服薬や塗り薬などを使い、必要い応じて薬用シャンプーで外側からもケアを進めていきます。
使用する薬用シャンプーも指間炎を起こしている原因にアプローチしなければいけないので、必ず獣医師の指示のもと適したシャンプー剤を使うようにしましょう。
決して、以前使ったことがあるからといって独断で使ったりしないようにしてくださいね。
また、使い方を間違えると症状が改善しないだけではなく、悪化することもあるので十分注意しましょう。
柴犬は病気になりにくい犬種と言われていますが、実は指間炎になりやすいことでも有名。
指間炎はかゆみと炎症を伴いその原因もさまざまなので、必ず獣医師に診察してもらって適した治療をするようにしましょう。
そして、指間炎にできるだけなってしまわないように食事・シャンプー・サプリメントといった、普段からでもできるケアで予防してあげてくださいね。
執筆者:山之内さゆり先生
トリマー、動物看護士
約10年間動物病院でトリマー兼動物看護士として勤務。
現場で得た知識と経験を情報として発信し、飼い主さんとペットが幸せに暮らせるためのお手伝いをしていきたいと思います。
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