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ジャックラッセルテリアは毛が短いのに指間炎になりやすい?

動物看護士・トリマー執筆

執筆者:山之内さゆり先生

動物看護士・トリマー

映画マスクに登場するジャックラッセルテリア。日本でも有名になり人気が高まった背景には、このマスクで登場したジャックラッセルテリアの陽気さやエネルギーに満ち溢れた行動を画面を通して目の当たりにしたからではないでしょうか。

そんな元気いっぱいのジャックラッセルテリアですが、毛が短いので湿気にも強く指間炎にもなりにくそうって思っていませんか?

でもそれは間違いで、実は指間炎になりやすい犬種だったりもするため、今回はジャックラッセルテリアはなぜ毛が短いのに指間炎いなりやすいのか?についてお話しします。

 

ジャックラッセルテリアは毛が短いのに指間炎になりやすい?

指間炎になりやすい犬種ってどんな犬種だと思いますか?と質問すると、「毛が長い犬種」「皮膚が弱そうな犬」と答える方がとても多いです。

あながち間違いではないのですが、ジャックラッセルテリアに関しては毛が特別長いわけでもありませんし、どちらかというと皮膚も強いイメージがあるため、なんとなく指間炎にもなりにくいのでは?と思われやすい傾向にあります。

 

しかし、実際のところは皮膚はあまり強くなく、脱毛症や指間炎といった部分的な皮膚疾患になりやすい犬種です。

少なくとも私が動物病院で勤務しているときや専門学校に通っているときにもジャックラッセルテリアがいましたが、指間炎に悩んでいる子が比較的多くむしろ指間炎とは無縁といった子はレアでした。

 

つまり、ジャックラッセルテリアは毛が短いから指間炎になりにくいというわけではないのです。

逆に毛が長いと確かに皮膚と被毛の通気性の観点から短い子と比べるとなりやすい傾向にはありますが、一概に毛の長さだけで判断することはできません。

 

ジャックラッセルテリアが指間炎になりにくいようにする方法

ジャックラッセルテリアは体質的に皮膚があまり強いとは言えない印象にありますが、そうした体質でも工夫ひとつで指間炎になりにくくすることはできます。

逆に言えば、指間炎になりやすい体質であるにも関わらず何も工夫をせずただ毎日を過ごしているだけだと、頻繁に指間炎になってしまったり癖になってしまうことだってありえるのです。

 

そうなると、たかが指間炎ではなくそこから二次感染を引き起こし症状が悪化。症状によっては多めに薬を使わなければいけないこともあります。

薬を多めに使う必要があるということは、それだけ状態をこじらせているといことなので、決して良い状況ではありませんよね。

そうしたことをできるだけ避けるためにも、普段からできる対策を取っておくようにしたいところなので、その方法をご紹介します。

 

足裏を清潔に保つ(湿気と汚れを溜めこまない)

ジャックラッセルテリアは小型犬でありながら大型犬並みの運動量が必要なほどのエネルギーを持っています。

そのため、毎日のお散歩も小型犬レベルでは済まないケースがほとんどで、たくさん歩いてたくさん遊ぶ!といったことをしてあげないといけません。

すると、必然的に足裏に汚れが付きやすくなるのでしっかり汚れを拭き取って清潔な状態保つようにしましょう。

 

しかし、ここで注意してもらいたいのが『清潔にする』=『足を濡らす』ではないということです。

足裏を清潔にするためにお散歩の後必ずシャンプーをしたり、水で流したり、濡れタオルで拭くといったことをする飼い主さんもいます。

もちろんその行為自体は悪いことではありませんが、問題なのは足を濡らした後の対処にあります。

これは足裏だけではなく犬の体全体に言えることなのですが、必要以上の湿気を溜めこんでいると雑菌が繁殖していきます。

雑菌は決して良いものではないので生乾きのニオイや皮膚トラブルを引き起こし、それが指間炎などを招くことになるので、必ず濡らした後はしっかりと乾かすことが重要です。

 

つまり、足裏をシャンプーしたり水洗いした後はタオルで拭くだけではなく、必ず最後はドライヤーをして完璧に乾かすこと。

そして、濡れタオルで拭くのであればダイレクトに地面につく肉球だけを拭けばいいので、ごしごしと肉球の間や指の間まで拭く必要はありません。

濡れタオルも硬く絞ったものやウェットティッシュを使って軽く拭き、必要に合わせて乾いたタオルで拭けばOKです。

 

良質な食事やスキンケア系の食事にする

指間炎を引き起こす原因の1つに免疫力が低いことがあげられます。

免疫力が低いと言われてもいまいちピンとこないかもしれませんが、もし飼っているジャックラッセルテリアが指間炎に悩まされやすい状況にあるのであれば、それは皮膚の免疫力が下がっていることを意味している可能性が高いです。

 

皮膚の免疫力が下がっていると、様々な刺激に対して敏感に反応しやすくなっているため、結果として指間炎になりやすくなります。

皮膚の免疫力を上げるためには、まずは体の内側から改善していくことが望ましいです。

 

そこでまず見直してほしいところが、毎日与えているドッグフードの質です。このドッグフードの質が良いか悪いかによって、当然それを食べているジャックラッセルテリアの体質も変わってきます。

免疫力を上げ病気などトラブルに強い体質にしたいのであれば、良質なドッグフードを選び細胞レベルで元気な体作りをしましょう。

 

オススメなのは無添加や食材にこだわったドッグフードであったり、動物病院に取り扱っているスキンケアに特化したドッグフードを選ぶと間違いありません。

もし動物病院で取り扱っているスキンケアに特化したドッグフードを選ぶのであれば、いちど獣医師に相談した上で決めなければいけません。

 

また、そうではない一般食で無添加や食材にこだわったドッグフードを選ぶなら、ネット通販でいろんな種類のものが出ているので、そこから試してみたいものを選んで使ってみましょう。

ただし、質の悪いドッグフードを与えた場合にあまり良くない結果が出るのは比較的早いですが、逆に質の良いドッグフードを与えてから良い変化が見えてくるまでは1ヵ月程度の時間が必要です。

続けることで以前よりも皮膚対トラブルが減ってきたり、毛艶が良くなったりといった変化を感じるようになるので、あせらず試してみましょう。

 

スキンケア用のシャンプーを使う

月に一度のお手入れで使っているシャンプーは、保湿をメインに作られたスキンケアに特化したシャンプーですか?

トリミングに連れて行ったところで特に特別な指定なくシャンプーをしているのであれば、スキンケアに特化したシャンプーではないでしょう。

一般的なシャンプーは、汚れを洗い流すことに特化したシャンプーなので、肌があまり強くない子にとっては乾燥を招いてしまう原因にもなります。

皮膚が乾燥するとバリア機能が低下し、外部からの刺激に対してとても弱くなるため指間炎にもなりやすいです。

スキンケア用のシャンプーとして使うのであれば、強い保湿力を持ったアミノ酸やセラミドといった成分をたっぷり配合したものがおすすめ。

 

ただし、シャンプーもドッグフードと同じように質の善し悪しがあるため、極端に安いものは選ばないようにしましょう。

保湿力に優れフケが出ている子にも良い結果を出してくれるシャンプーとしては、アロビーンシャンプーがあります。

これは、私が動物病院で勤務していたときに使っていた保湿系シャンプーで、フケや乾燥が目立つ子に対して使用していました。

また、合わせて洗い流さないコンディショナー(アロビーンコンディショナー)も使うことでしっとりとうるおい、皮膚・被毛の健康トラブルに悩んでいた子もとても艶やかな状態を維持できるため飼い主さんからも好評だったのを覚えています。

 

他にもアロエを主成分に使ったシャンプーやハーブを使ったシャンプーなどもありましたが、試した中では一番保湿力に優れ香も効果も個人的には満点です。

更にうれしいのは、こうした保湿力に優れ肌に優しいシャンプーとコンディショナーを使うと、それを使ってケアをしている人の手もすごくしっとりするんです。

 

今まで普通のシャンプーを使うと特に冬場は肌荒れがすごくて、あかぎれや乾燥に悩まされていたのですが、アロビーンシャンプーとコンディショナーを使う頻度が増えてからが繁忙期でも手がしっとりしていました。

もちろん、他にもいろんな商品があるため品質にこだわったスキンケア系のシャンプーを試しながら、使い心地や香りなど総合的に合ったものを使ってみましょう。

 

爪が伸びすぎないように注意する

爪が伸びすぎるとカーペットなどにひっかかって爪が脱臼してしまうことがあります。また、カーペットがなくても日常的に歩いているなかで滑りやすくなりケガをするリスクが高まるため、爪は短い状態を保つようにしましょう。

もし爪が脱臼したり折れかけたりすると患部を気にして執拗に舐めるようになり、それが原因で指間炎になってしまいます。

指間炎だけでなく大けがに繋がることにもなるため、伸びすぎには十分注意して月に1~2回を目安に爪のお手入れをするようにしてください。

 

靴を履かせて傷予防をする

これはトレーニングをしないと難しいかもしれませんが、もし靴を履かせることができるのであれば、指間炎予防としては効果的な手段のひとつとなります。

犬は常に裸足で歩いている状態なので、気付かない間にガラスや尖った小石や小枝などで傷がついてしまい、その時の傷が気になって舐めることで指間炎になることも。

 

また、靴を履くことに慣れていれば万が一の災害時で足元が危険な場所でも安全を確保して歩かせることができます。

日頃の指間炎の予防だけでなくそうした災害時の備えとしても、靴に慣れさせておくことはおすすめです。

 

免疫力アップが期待できるサプリメントを使う

ドッグフードをいきなり変えることができない場合や、特別な理由で今食べているドッグフードでなければ健康を損ねるといったことがある場合は、免疫力アップが期待できるサプリメントを使ってみましょう。

サプリメントは足りない部分を補うために使うことができるので、免疫力アップを重点的に取り入れたい場合にはとても使いやすいアイテムとなります。

 

選ぶべきサプリメントは質の高い原料から作られたものですが、安価で売られているサプリメントに関してはおすすめできません。

個人的におすすめしたいのはキングアガリクス100というサプリメントで、このサプリメントに使われている原料はアガリクスのみ。しかも完全無添加で体にも優しく続けやすいという特徴があります。

味も純粋にきのこの味なので、嫌がるよりも欲しがる子の方が多いのも続けやすい理由ですね。

 

ただ、サプリメントはあくまでも補助食品なので薬のような即効性はなく、その効果も緩やかなものとなっています。

そのため、目に見えた実感ができる場合もあればそうでないこともありますし、「もしかして変わった…のかな?」といったわずかな変化しか感じないといったことも。

しかし、たとえわずかでも変化を感じるということは体の中で良い方向に変化している証拠なので、細く長く続けて免疫力アップをサポートしてみましょう。

 

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ジャックラッセルテリアの指間炎まとめ

今回は、エネルギーに満ち溢れたジャックラッセルテリアの指間炎についてお話ししました。

毛が短い犬種なのでなんとなく指間炎になりにくそうといったイメージがあった方も、実際はそうではないということに気付いていただけたら幸いです。

 

とはいえ、日頃のケアをどのようにするかによって指間炎を防ぐことはできます。それは、毎日の食事やお散歩後の足裏のケア、定期的な爪切りや使うシャンプーの種類、そしてサプリメントでの補助といったようにさまざまです。

全てを一度にするのは大変かもしれませんが、1つでも取り入れることでジャックラッセルが指間炎になる可能性を小さくすることができるので、ぜひできるところからチャレンジしてみてくださいね。

 

執筆者

山之内さゆり先生

トリマー、動物看護士

10年間動物病院でトリマー兼動物看護士として勤務。

現場で得た知識と経験を情報として発信し、飼い主さんとペットが幸せに暮らせるためのお手伝いをしていきたいと思います。

 

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著者⼀覧 Author

  • 森のいぬねこ病院グループ 院長

    西原克明先生

    獣医師

  • 増田国充先生

    増田国充先生

    獣医師

  • 大谷幸代先生

    愛玩動物飼養管理士

    青山ケンネルスクール認定A級トリマー

    メディカルトリマー

  • 山之内さゆり先生

    動物看護士・トリマー

  • 國澤莉沙先生

    愛玩動物飼養管理1級

    ホームドッグトレーナー1級

    小動物看護士他

  • 大柴淑子先生

    動物看護士(元)

    ペットアドバイザー