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プードルがかかり易い皮膚病の原因、治療・予防法

愛玩動物飼養管理士執筆

愛玩動物飼養管理士

青山ケンネルスクール認定 A級トリマー

大谷幸代先生

 

トイプードル

被毛が抜けにくい、体臭がすくない、賢い性格でしつけがしやすいと共に暮らすパートナーとして理想的と言われる犬種がプードルです。プードルの魅力の1つである被毛も皮膚病を患うことで、まるで印象が変ってしまうこともあるでしょう。共に暮らす愛犬が辛い皮膚病にかかってしまうことも念頭におき、基礎的な知識を身に着けておきましょう。

プードルの被毛の特徴

プードルと言えば小さな小型犬、ふわふわとした被毛が魅力的な犬種ですが、元来は水辺で猟をするために活躍をしていた歴史があります。

水辺で濡れた体がすぐに乾き、体温を下げてしまわないように被毛は一層構造で出来ています。

被毛の隙間から地肌が見えることもプードルでは珍しくありません。

ただかゆみがある、円形状に脱毛が起きている、抜け毛の量が多いなどの気になる症状がある場合は皮膚病を患っている可能性があるので動物病院を受診しましょう。

プードルが皮膚病を患った時に見られる症状

皮膚病とは無縁な健康な犬であれば、むやみに体を掻くことや頻繁に体を噛むことはありません。

〇全身くまなくかゆみがある

〇全身を小刻みに噛む

〇体をこすりつける

〇ブラッシングを嫌がる

などの行動がみられる場合は、皮膚病の可能性を考えてあげましょう。

プードルはとても繊細な気質を持つ犬種なので、中にはストレスや不安から足を舐める、耳を頻繁に掻くなどの行動がみられることもあります。

皮膚病との違い、見分け方は

〇寝ている最中に突然起き上がり体を掻く、噛む

〇寝起きで突然体を掻く、噛む

〇遊びの間や散歩中に突然立ち止まり体を掻く、噛む

などです。

突拍子もないタイミングでかゆみを感じることがあれば、早急に動物病院を受診しましょう。

プードルがかかりやすい皮膚病

食物性アレルギー

プードルと言えば何かと食に関する悩みが多いことでも有名です。

繊細な性格ゆえに食べ物へのこだわりが強く、中には驚くほどに少々なプードルもいるほどです。

愛犬の食の好みやこだわりを理解しつつ、食物アレルギーを回避する食生活を続けることは簡単なことではありませんが、辛い痒みから愛犬を守るためにもぜひ前向きに取り組んでゆきましょう。

食物アレルギーによってみられる症状は

〇かゆみ

〇脱毛

〇皮膚の変色や変質

などです。

かゆみが強く起こること、口やマズル周辺での脱毛などをきっかけに異変に気が付くでしょう。

食物アレルギーが原因で起こる皮膚病は、

1原因となる物質を突き止める

2原因となる物質の摂取や接触を完全に遮断する

3かゆみ止めを服用する

4患部の保護と完治までのケア

に取り組むことで、症状を抑えることが出来ます。残念ながら食物アレルギーそのものをリセットし、再発を完全に回避する術はありません。

あくまでも再発をしないように心がけるにすぎません。

食物アレルギーによる痒みは強い症状でおこり、想像以上のストレスを愛犬に与えます。くれぐれも不注意で原因物質を摂取させてしまわないように注意しましょう。

アカラス

目頭、眉間の毛量が少ない?地肌が見えている?症状が徐々に広がっている?

と気になる時は、動物病院で検査を受けましょう。

この部位に症状が起こる皮膚病の1つにアカラスがあります。アカラスとはカビが原因で起こる皮膚病です。

発症は生後間もない子犬や産前産後、老犬に多くみられます。

一般的には不衛生な環境で繁殖や生活をしていることが原因で起こる症状ですが、ペットショップの生体販売や保護犬といった発症している犬との接触で感染がみられるケースもあります。

アカラスは初期の段階では激しい痒みがなく、換毛期や子犬期特有の薄毛、体質を勘違いされてしまうこともあります。

しかし症状が進むにつれ、

〇痒みが強くなる

〇脱毛部位が広くなる

〇地肌の露出部位が多くなる

などの変化がみられます。

地肌が露出すると、外部からの様々なダメージや刺激を受け、薄い皮膚には傷や乾燥が置き、さらなる病気へとつながります。

症状は適切な治療で改善し、完治させることが出来るので、気になる脱毛がある場合は早急に動物病院を受診しましょう。

真菌

アカラスに大変よく似た症状に真菌と呼ばれるカビが原因で起こる皮膚病があります。

痒み、脱毛とみられる症状はアカラスとほぼ同じです。

目視ではその原因と特定することはできず、動物病院で検査を受け特定します。この症状は市販薬や薬用シャンプーだけでは完治を目指せず、動物病院の処方薬が欠かせません。

特徴は

〇強い痒み

〇広範囲にわたる脱毛

〇被毛の再生に時間がかかる

中には半年以上も脱毛が続き、全身の皮膚が露出することもあります。

他犬や家族への感染の可能性もあるので、発症後は動物病院の指示に従い適切に治療に取り組みましょう。

指間炎

実は足回りの皮膚病を患っているもしくはその予備軍と呼べるプードルは数多くいます。

その原因の1つに、テディベアと呼ばれるカットスタイルがあります。

このスタイルの場合、足回り、足指の被毛は長いままで残します。その結果、

〇散歩中の雨

〇散歩後の足拭き、足洗い

〇自宅でのシャンプー

〇自分で足先を舐める

などの理由で足回りの被毛が常に湿り気を帯び、雑菌が繁殖し、痒み、痛みを伴います。

痒みを解消しようと、執拗に噛むことで患部の傷が出来、さらなる痒みへと悪循環を繰り返します。

犬にとって足は大変デリケートな部位ですから、治療の為の薬剤の塗布やお手入れは相当に嫌がるでしょう。

またプードルの中には

〇先天的な体質

〇脂肪分の多い食生活

〇加齢

などの理由から皮脂の過剰分泌が起こるケースがあります。足回りだけでなく、耳や体の被毛がべたついていると感じることがあるでしょう。この症状が起こっている場合、通気性が悪く、適度な湿度が保たれている足指にはより激しい症状が起こります。

足指炎の解消、軽減には

〇足回りの被毛を短く切りそろえる、症状によってはバリカンで足先を剃っておく

〇散歩後は洗わずに乾いた布で拭きあげのみとする

〇薬剤を塗布し、エリザベスカラーで患部を保護する

などの方法が効果的です。

体全体がべたついている場合は食事の見直しやサプリメントによる栄養バランスの調整などもおすすめです。

脂漏症

プードルのように垂れた耳を持つ犬にとって外耳炎は生涯ケアや予防が必要です。

外耳炎は耳周辺からの悪臭や耳内部の汚れで発症に気が付くでしょう。

外耳炎が起こる原因はいくつかあるものの、その1つに脂漏症と呼ばれる症状があります。

プードルは食へのこだわりが強いことから、市販の製品はより高い嗜好性を求め、脂肪分を過剰に添加していることが多々あります。

この過剰の脂肪分は体内で代謝しきれず、皮膚の薄い部分を通じて体外に排出されます。その結果

〇耳内部

〇目頭の涙やけ

〇足裏

などの部位に症状や皮膚病が起こりやすくなります。

皮膚や被毛のべたつき、強い体臭や外耳炎を中には愛犬の体質だからと受け入れてしまうこともありがちです。

しかしこの症状の原因となる生活習慣を長年続けることで加齢とともに様々な悪影響につながります。

健康なプードルの被毛は

〇被毛の根元部分は立ち上がっている

〇被毛1本1本に適度な隙間がある

〇べたつきがなく、さらっとした手触り

〇ブラシがスムーズに通る

などの特徴があります。

気になる症状や不安を感じる時は動物病院に相談をして、治療の必要性を見極めてもらうことをおすすめします。

病気、治療の必要性はないという判断が下った場合は、サプリメントなどを活用し、体質改善に取り組むことで、愛犬の負担軽減にもつながります。

プードルの皮膚病への対処法

辛い皮膚病は愛犬の様々なストレスをもたらします。脱毛が進み、変わり果ててしまった愛犬の姿につい外出をためらってしまうこともあるでしょう。

しかしプードルは元来は狩猟犬です。たとえ小型化されたといっても、その活発さは健在です。外出や散歩を制限したり、減らすことでさらなるストレスとなり、症状が悪化することもあるので、洋服を着せる、他犬との接触を避けるなどを心掛け、適度な運動、外出を続けてあげましょう。

 

執筆者 大谷幸代先生

愛玩動物飼養管理士

青山ケンネルスクール認定 A級トリマー メディカルトリマー

学生時代にイギリスへドッグトレーニングの勉強のため、短期留学。その後、ペットショップ販売員、トリマー、ドッグトレーナー、ペットシッターなど様々な仕事を経験してきた。

ホリスティックケアアドバイザーや日本アロマテラピー協会認定アロマテラピーインストラクターなどの資格も取得。ペット関連用品の開発、雑誌などへのコラム執筆を手がけるなど、【犬を飼う生活から、犬と暮らす生活へ】の実現をめざし、幅広く活躍している。

 

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  • 森のいぬねこ病院グループ 院長

    西原克明先生

    獣医師

  • 増田国充先生

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  • 大谷幸代先生

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