獣医学部生執筆
心臓は、生きるために必要な血液を体全体に送り出す、とても大切な臓器です。その構造は人の心臓と同じように、規則正しく動いて血液を送りだす筋肉からできています。心臓は酸素やエネルギーを含んだ新鮮な血液を全身に送り出し、帰りに全身から二酸化炭素や老廃物を受け取った血液が戻ってくる場所です。
猫の心臓病でもっとも多く見られるのが「心筋症」で、そのほか主要なものに「先天性の心臓病」や「不整脈」があります。ここでは発症の多いこの3つの病気について紹介していきます。
「心筋症」は人では遺伝が原因で起こることが知られている病気で、猫でも遺伝による可能性が高いとされていますが、まだはっきりしていません。
「先天性の心臓病」とは、生まれたときからすでに心臓に異常が見られる病気のことです。これも遺伝や妊娠中の何らかの異常の発生が原因と疑われていますが、まだ詳しくはわかっていません。
「不整脈」は、心臓のドキドキ(心拍数)が異常に速い、遅い、一定でないなど、リズムが乱れる症状のことをいいます。その原因は心臓の病気だけでなく、腫瘍や外傷、ストレスなどでも不整脈になることが知られています。
心臓病の種類によりさまざまな猫種でかかるおそれがありますが、とくに猫の心臓病の90%以上を占める「心筋症」は、メインクーン、ラグドール、アメリカン・ショートヘアーなどで遺伝するといわれています。
「心筋症」では、一見正常にみえる猫が、突然重い呼吸困難をおこす、あるいは後ろ足が立たなくなるなどの症状が特徴的です。ひどい場合では、突然症状が出て死んでしまうこともあります。
「先天性の心臓病」では、異常の程度により無症状のものから、疲れやすい、運動するのをいやがる、苦しそうに呼吸するなどの症状まで見られます。運動時に失神したり、急死してしまうこともあります。
「不整脈」も、その種類と発生の頻度によって無症状のものからひどい症状を示すものまでさまざまです。重い不整脈では呼吸が速くなり、あまり動こうとせずじっとしています。
このように猫の心臓病は、初期は無症状なことも多く、飼い主さんが異常に気づくのが難しい病気です。そのため分かりやすい症状が出始めたときには、もう病気が重く進行してしまっていることが少なくありません。定期的に健康診断を受けさせることが、早い発見と治療につながります。
症状が無い軽いものでは、治療をせず日常生活の過ごし方に気をつけながら経過を観察するだけで対処することもあります。また、生まれつきの心臓異常の場合は手術によって治る場合が多くあります。
一方、症状が強くでている場合は、薬を使って症状を抑える治療が中心となります。治療が成功するかどうかは病気の程度や薬に対する反応に左右されますが、ほとんどの場合、薬による長期間の治療とサポートをおこなっていくことが大切です。
※この記事は麻布大学獣医学部のご協力により作成いたしました。
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