獣医学部生執筆
猫はみんな、生活の中で決まった行動パターンや習性を持っています。そのため当たり前ですが、私たち人間と同じように、日常に急激な変化が起こると精神的に緊張してストレスを感じます。
猫がストレスを感じる原因にはさまざまなものがあります。
たとえば、「転居」、「新しい家族や動物との同居」、「見知らぬ猫や人との接触」、「トイレ砂の変更」、「運動不足」、「いつも許されていた外出の禁止」、「必要以上に触られること」、「病院での治療や入院」、「食事の制限」などです。また、子猫があまりにも早くお母さんから離されることも、ストレスとなり将来問題行動を起こす原因になります。
これらの原因から分かるように、ストレスによる病気は身近な生活の中に原因がたくさん潜んでおり、どの猫にも起こりうるものです。それと同時に、飼い主さんの日々の心がけによって猫のストレスを軽減し、予防してあげられる病気でもあります。
生活環境によってどの猫にもストレス病にかかる可能性がありますが、もともと性質的にストレスを感じやすい猫種もいます。アビシニアンやシャム猫、三毛猫(3色の毛が生えている猫の総称)などがそれにあたるといわれています。
ストレスを感じることにより現れる症状は、猫によりさまざまです。
ストレスを感じ始めた初期には、健康なときと比べて「お気に入りのおもちゃで遊ばなくなった」、「走ったりジャンプしたりする回数が減った」など猫に「元気がない」という様子がみられます。この段階ではまだはっきりとしたわかりやすい症状ではないため、気がつかないことも多いです。
ストレスがさらに溜まってくると、過度に体を舐めることによる「脱毛や皮膚炎」、「トイレ以外での排泄」、「食欲不振」、「異常な食欲」、「下痢」、「嘔吐」、「多量のよだれ」、「自分の体を咬むなど傷つける行動」、「攻撃性の増加」などが主な症状としてでてきます。
また、意味の無い同じ行動をなんどもなんどもくり返したり(常同行動)、飼い主さんの衣類などの布を食べてしまったり(ウールサッキング)する猫もいます。
一緒に生活する上で特に問題となるのが、「トイレ以外での排泄」や「攻撃性の増加」です。飼っている猫が部屋のあちこちでトイレをするようになってしまった、以前より攻撃的になってしまったなどの行動がみられた場合、単に猫の性格が悪くなったのではないかと感じるかたも多くいると思います。しかしそう考える前に、原因が何らかのストレスによるものである可能性を疑ってあげることが大切です。
野生の猫は、基本的に独りで行動しています。そのため室内で生活する猫に対しても、静かで安全な空間をつくり、環境を急激に変化させないことが重要です。特に「転居」は猫にとって大きなストレスの原因となります。新しい住まいに慣れるまでの一週間ほどは、食事と水、トイレを一部屋に用意してそこから出さないようにし、徐々に慣らしてあげてください。一週間も一部屋に閉じ込めるのはかわいそうと感じるかもしれませんが、猫にとっては、いきなり知らない広い場所に解き放たれる方がより大きいストレスとなるのです。
生活する上で必要以上に猫に触りすぎることも、ストレスの蓄積をおこして病気に対抗する力が弱くなり、病気にかかりやすくなります。適度なスキンシップは大切ですが、過度に触りすぎることは控えましょう。
また、一緒に暮らす猫が複数いる場合、トイレの数は重要です。少なくとも猫の数プラス1個は用意してあげましょう。
※この記事は麻布大学獣医学部のご協力により作成いたしました。
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