獣医学部生執筆
ふつう涙は無色透明ですが、目の粘膜に炎症が起きて、その分泌液などが混じると、粘りけが出てきます。これが目やにです。目やには粘りけがあるために、健康なときの涙のように涙管を通って排泄されないので、目の縁にたまってしまいます。
目やにが出る場合は、治療を必要としない生理的な現象から重篤な目の疾患まで多くのことが考えられます。
目やにの原因は、「ほこり」「被毛」「外傷」「薬品」「細菌やウイルス、寄生虫などの感染」「眼瞼(まぶた)、第三眼瞼(瞬膜)、まつ毛、涙液、結膜、角膜、強膜などの目の表面の疾患」「ぶどう膜や緑内障などの目の中の疾患」など様々です。
目やにが出る病気には、まず角膜炎と結膜炎があります。また、ドライアイともいわれる乾性角結膜炎もあります。内反症(まぶたが内側に反転している状態)や外反症(まぶたが外側に反転している状態)でも目やにが出やすくなります。
目やにが出るからといって、目の病気だとは言い切れません。犬では、犬ジステンパーや犬伝染性肝炎などの感染症でも目やにが出ます。これらの病気では、目以外にも症状が出ますので、よく観察してください。
角膜炎、結膜炎、内反症(まぶたが内側に反転している状態)などが悪くなると、黄色い膿状の目やにになり、ひどいときは目がふさがって開かなくなります。
病気によって、様々な目やにが見られます。目やには大きく3つに分けられます。
(1)粘液性の目やに:白または灰色の粘稠性のもので、これは結膜炎や角膜炎など目に刺激があるときに見られます。
(2)化膿性の目やに:黄色の粘稠性のもので、炎症や細菌感染があるときに見られます。
(3)漿液性の目やに:水っぽいもので主に涙です。ウイルス感染のときに見られ、ときどき赤褐色のこともあります。
目やにが気になるときは、目やにの性質・量を観察してください(サラサラした漿液性なのか、ドロドロした粘液膿性なのか)。目やにの性状が診断に役立つことがあります。
目やにがついている場合、簡単に取れるものであれば、コットンなどで軽く拭いて取り除きます。目やにが硬くなっているときには、コットンに水を含ませ、目やにを軟らかくしてから除去します。犬の場合、特に白色の被毛の犬などでは、目の周りの毛が赤褐色になる涙やけを起こしがちな品種があります。こうした犬に対しては、目の周りの被毛が長ければ、目の上と鼻の上の毛をスキバサミでカットします。トリマーに連れて行って、目の周りの被毛を短くしてもらうことも良いでしょう。
目やにの量が多いなど心配なことがあれば、動物病院で診てもらいましょう。また、目の周囲の手入れが上手くできないなど困ったことがあるときも、相談してみましょう。
※この記事は麻布大学獣医学部のご協力により作成いたしました。
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