獣医学部生執筆
犬の無駄吠えは、飼い主さんがもっとも悩むことの多い問題のひとつです。ひとりぼっちにされると一日中吠え続けていたり、誰かが通るのに気がつくとすぐ吠えてしまったりと、まわりの人に迷惑がかかってしまうほどの無駄吠えは、できればやめさせたいものです。
「吠える」というのは、犬の天性です。これにはさまざまな原因がありますが、主に次の4つの理由が挙げられます。
家族ではない他人、あるいは他の犬などを見たときに、自分の群れである家族全員に対して警戒を呼びかけるものです。
恐怖や不安を感じたときに発するもので、それにより外敵を恐れさせる、あるいは犬がひとりぼっちであるときに自分の存在を示す、などの効果があります。吠えることにより犬の精神は安らぎます。
飼い主さんが帰宅したときや、食事の時間にみられ、喜びを表現しているものです。
恐怖と結びついていることが多く、犬の恐怖が大きくなるにつれて声は甲高くなります。また、低く小さな声で、ほとんど唸り声に近くなるのは危険な兆候であり、犬が攻撃に移る前兆です。
この他に、散歩やお手入れなどのコミュニケーション不足によるストレスで、よく吠えるようになることもあります。
吠えやすい犬種として、ダックスフンド、柴犬、ヨークシャー・テリア、ビーグルなどが挙げられます。これらは小動物を狩る狩猟犬や、番犬として使われていたため吠えやすいと考えられています。その他にも、性格的に臆病な犬や警戒心の強い犬が無駄吠えをしやすい傾向があります。
無駄吠えへの対処法としてはさまざまな方法が考えられていますが、次のような方法が基本とされています。
「吠える」ことによって「嫌なことが起こる」と、犬に関連づけさせる方法です。現在では、吠え声に反応して犬の嫌いな音が出るなどのグッズも売られていますので探してみるとよいかもしれません。この方法で注意するべきことは、犬が「吠える」ことと「罰」を結びつけず、「罰を与える人」と結びつけてしまう場合があることです。そうならないために、叩く・怒鳴るなどの直接的な罰を与えるのではなく、嫌いな音がでたり、嫌なことが起きたりするような間接的な罰を与えるよう工夫しましょう。
重要なことは、気分で罰を与えるのではなく、「吠える」行為が見られたときはかかさず毎回罰を与えるようにすることです。
犬は自分だけでは手に入れることができない何かをほしがると本能的に吠えるものです。このとき飼い主さんが吠え声に負けて何かを与えたり思い通りにさせてしまったりすれば、犬は「吠えた効果が上がった」と学ぶことになり、ますます吠えるようになります。しかしこれと反対に、静かにしているときにご褒美を与えるようにすると、結果として犬には吠えても意味がないことを教えることになるでしょう。
つまり、静かにしているときにご褒美を与え、吠えたときは興奮が収まるまで無視、あるいは飼い主さんと関連づけられないような罰を与える方法で、非常に効果が上がると考えられます。
郵便配達員などの特別な格好をしている人や、子供、赤ちゃん、帽子をかぶった人など特定の人に吠える場合、過去の嫌な想い出が何らかの理由でこれらの人々に結びついてしまっていることがほとんどです。
このような場合は、攻撃の対象となっている人々が犬にご褒美をあげたり、撫でてあげたりすることによって、徐々に慣れて犬の恐れや敵意を減少させることができます。
犬がなかなか吠えるのを止めない場合には、ストレスがたまっている可能性もあります。
運動不足や退屈が原因だと考えられるときは、散歩や遊びをする時間を作ってあげたり、笑顔で話しかけて積極的にスキンシップをとってあげたりしましょう。
※この記事は麻布大学獣医学部のご協力により作成いたしました。
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