ワンちゃん・ネコちゃん相談室 Consultation room

動物看護士・トリマー執筆
執筆者:山之内さゆり先生
動物看護士・トリマー
犬にサマーカットをすると毛が伸びない、という話しを聞いたことはありませんか?
愛犬のことを考えてサマーカットを検討したとはいえ、その後毛が伸びてこないとなると話は別ですよね。
この記事を読むと、サマーカットをすると本当に毛が伸びないのか?そして、気をつけるべき犬種と注意点を知ることができます。
やってから後悔してしまわないよう、ぜひ最後まで読んでみてください。
犬にサマーカットをすると毛が伸びないのか?これはすごく気になりますよね。
短くカットをする目的だったとしても、「また伸びる」という前提があるからこそできることだと思います。
しかし、サマーカットをして毛が伸びないとなると話は別です。結論を言うと、犬種によってはサマーカットをすると、毛が伸びないという事態が発生します。
これは『毛刈り後脱毛症』といわれるもので、被毛を短くカットするとその部位が長期的に成長・発毛しない状態です。
毛刈り後脱毛症になると、元に戻るまで約1年ほどかかるため、安易にサマーカットにすることは推奨しません。
毛刈り後脱毛症になってしまった場合、被毛を元の状態に戻したいのであればしばらくは足裏など必要な箇所だけにとどめ、体の毛はカットしないようにしましょう。
また、なかにはアロペシアXといって遺伝的または内分泌系が関わっている可能性から、毛周期サイクルが止まってしまう病気もあるため、毛が生えにくくなったら一度動物病院で診察してもらってくださいね。
毛刈り後脱毛症はどんな犬種でもなるわけではありません。犬にはカット犬種とそうではない犬種がいますが、毛刈り後脱毛症になる犬種はそれ以外の犬種たちです。
では、カット犬種以外とはどんな犬種の子たちなのかをご紹介します。
【カット犬種ではない犬の種類】
・柴犬(日本犬)
・日本系の雑種
・ダックスフンド
・コーギー
・チワワ
・ポメラニアン
・キャバリア
・ボーダーコリー
・シェットランドシープドッグ
・ゴールデンレトリーバー
よくお迎えされている犬種をいくつかピックアップしてみました。
これらの犬種は、サマーカットをすると毛刈り後脱毛症になる可能性があるため、トリミングには注意が必要です。
足裏やお腹周りの毛をカットするぶんには問題ないのですが、全身を短くするサマーカットは、毛刈り後脱毛症のリスクがあります。
一方でサマーカットをしても毛が伸びる犬種がいます。それがカット犬種と言われる犬たちです。
【カット犬種の犬の種類】
・プードル
・マルチーズ
・シーズー
・シュナウザー
・ビション
・ヨークシャーテリア
他にも上記の犬種をかけあわせたミックス犬も、カット犬種です。
カット犬種は毛が伸び続けるため、サマーカットにしても毛刈り後脱毛症を気にする必要はありません。
長さなどスタイルをいろいろ変えて楽しみたいといった飼い主さんであれば、こうしたカット犬種を選ぶといいですね。
しかし、定期的にカットをする必要があるので、費用の面でも十分に考えたうえで検討するようにしましょう。
サマーカットというと、バリカンのメーカーにもよりますが、だいたい3mm以下のバリカンの刃でバリカンをかけるとサマーカットになります。
被毛が残る長さで言うと、地肌から1cm以下になるとサマーカットと考えるといいですね。
そして、地肌から1cm未満にするためにバリカンをかけると、毛刈り後脱毛症のリスクが高まるのです。
しかし、不思議なのはバリカンではなくオールシザーでカットすると、毛刈り後脱毛症のリスクが下がる傾向にあるということ。
原因はわかっていませんが、もしかしたらバリカンをかけることで地肌や毛穴にダメージがいき、それによって被毛の成長が止まってしまうのではないか?とも言われています。
実際、バリカンではなくオールシザーでサマーカットをすると、毛刈り後脱毛症のリスクは低いように感じています。
ただし、これはあくまでもこれまでの経験からの感想なので、絶対ではないということを留意しておいてください。
特にアロペシアXでも有名なポメラニアンですが、この犬種をオールシザーで短くカットすると、カットした跡がわかるような被毛の生え方をするケースも多いです。
カット犬種ではない子を短くカットする場合は、元に戻らない可能性を十分理解しておくようにしてください。
サマーカットで起こる毛刈り後脱毛症についてお話しましたが、そもそもカット犬種でもそうでない犬種でも、実は基本的にサマーカットはよほどの理由がなければおすすめしません。
単純に毛が伸びなくなるだけではなく、サマーカットは被毛の機能を取り除いてしまう行為になるからなのです。
先述したようにサマーカットは、地肌から1cm未満の長さにするカットのことを言います。
被毛は本来、保温・保湿・紫外線からのダメージなど外部からの刺激から、身を守るために備わっているものです。
しかし、それを地肌が見えるくらい短くするということは、身を守るための防具を脱ぎ捨てるようなものと言えます。
洋服を着せるという手段もありますが、洋服を着ることで過度なストレスが発生してしまう子であれば、QOLの低下にも繋がりあまり良いとは言えません。
それぞれの生活環境を考えたうえで、サマーカットをしたほうがいいという判断が必要になるのも事実ですが、深く考えずサマーカットを選択するのはやめましょう。
そして、できればサマーカットをしなくても済むように、日頃からこまめなお手入れをして毛玉を予防するなどしてあげてください。
もしもサマーカットをする必要があり、それによって毛刈りご脱毛症になってしまったら、洋服を着せる必要が出てくるかもしれません。
ですが、洋服に対して多くの犬は違和感を感じ嫌がる子がとても多いため、普段から洋服に対してポジティブなイメージを持てるよう、少しずつトレーニングするのもおすすめです。
洋服だけではなく、ブラッシングなどのお手入れもポジティブな取り組みによって、犬が心地よさを感じながらケアすることができます。
それを可能にするためには、ハズバンダリーケアができるドッグトレーナーに相談するようにしましょう。
ハズバンダリートレーニングという言葉を聞いたことがある人も増えてきていますが、ハズバンダリーケアはトレーニングという言葉へのハードルを下げるために、使われているものです。
ハズバンダリーとは、犬に我慢をしてもらいながら行なう施術ではなく、犬と人が楽しみ協力しあいながら行なう取り組み全般のことを言います。
犬に洋服を着用させるのであれば、いきなり洋服を着せて無理やり慣れさせるのではなく、まずは洋服を見せるところからスタートします。
犬が不安などネガティブな様子を示していないかを常に確認しながら、徐々に洋服との距離を縮めていき、体に触れるだけ、次は足を通すだけ…など、徐々にステップアップしていくのです。
もちろん犬が「やりたくない」と言えば、その拒否を人間は受け入れます。
こうすることで、犬が洋服を我慢して着させられるのではなく、その子自身の意志で洋服を着ることを選択してくれるようになるため、QOLや動物福祉の向上にもつながります。
皮膚・被毛のコンディションは過度なストレスの積み重ねも影響するため、1つでも多くネガティブな要素を減らすことが大切です。
ハズバンダリーケアは、その目的のための手段のひとつと言えます。
毛刈り後脱毛症にならないようにするために一番の対策は、全身を短くカットしないことです。
お手入れができればそれをする必要はありませんので、サマーカットにしなくて済む取り組みをしてみてください。
もしもすでに毛刈り後脱毛症になっていたり、被毛に対して心配があるという方は、一度食事を見直してみるのもおすすめです。
市販で売られているフードではどの程度の効果があるかは不明ですが、動物病院で取り扱いされているフードの中には、皮膚・被毛のケアのために作られたフードもあります。
そのようなものを使って、普段から皮膚・被毛のケアを行いながら様子を見るというのも、一つの方法ですので、ぜひ動物病院で相談してみましょう。
また、食事の見直しはフードだけではありません。実はサプリメントも食事のひとつです。
特にキングアガリクスでは、毛艶や脱毛に対して期待できる結果も多くわかっているため、体質なのだと諦めてしまう前に一度お試しいただきたいですね。
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もちろん、食だけではなくさまざまな要因が絡んでいるケースも少なくないため、日々のQOLの向上のためにできることをひとつずつ丁寧に取り組み、愛犬と健やかな時間を共有できるようにしましょう。
執筆者
山之内さゆり先生
トリマー、動物看護士
約10年間動物病院でトリマー兼動物看護士として勤務。
現場で得た知識と経験を情報として発信し、飼い主さんとペットが幸せに暮らせるためのお手伝いをしていきたいと思います。
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