獣医学部生執筆
動物の体には、環境中から体の中に入ってきたウイルスや細菌などの悪いものをやっつけて、自分の体を守ろうとする仕組みがそなわっています。この自分の体を守る力を「免疫力」といいます。私たち人間が疲れているときや栄養の足りていないときに風邪をひきやすいのと同じように、犬もさまざまな要因で「免疫力」が低下すると病気にかかりやすくなります。
病原体に対抗するためのしっかりとした高い「免疫力」を維持するためには、特別なことが必要なわけではなく、日々の生活の送り方が大切になります。以下のようなポイントを心がけましょう。
健康な体を作るためには、良質な栄養をとらせてあげることが必要です。お店にはたくさんの種類のペットフードが売られていますが、なかには添加物が多く含まれているものもあります。袋の宣伝文句だけにだまされることなく、良質な原料のものを選ぶようにしましょう。迷った際は、動物病院で販売しているペットフードならば確実です。また、犬用のサプリメントなどを利用して必要な栄養分を補うのもよいでしょう。
人と同じように、犬にも適度な運動が必要です。体を動かし、エネルギーを消費して自然とぐっすり眠ることで、「免疫力」もアップします。毎日の習慣として1日1回は散歩をしましょう。外に出られないときには、部屋の中で遊んであげるだけでもエネルギーの消費につながります。ときにはドッグランなど自由に走ったりジャンプしたりできる場所に連れて行ってあげるのもよいでしょう。
太陽の光を浴びることで、生活リズムを整えることができます。さらに、日光を浴びることで体の中でビタミンが作られて「免疫力」もアップするといわれています。窓越しでも構わないので、日中に太陽の光を感じられるようにしてあげましょう。
ストレスの蓄積も、「免疫力」低下の原因となります。暑さや寒さ、引っ越しや家族の増加などの環境の変化、かまってもらえない寂しさなどでストレスがたまってしまう前に、なるべく原因を取り除けるよう気を配りましょう。心の健康は体の健康にもつながっています。
私たちにとっても当たり前のことですが、ほこりっぽい環境での生活は菌も繁殖しやすく、「免疫力」を低下させます。神経質になる必要はありませんが、定期的にハウスのまわりをきれいにして、犬用のトイレも汚れたらすぐに片付けるように心がけ、快適な環境を維持しましょう。
生まれたばかりの子犬や、高齢になった犬では、とくに「免疫力」が弱いため注意が必要です。
出産直後から数日間に出る母乳には、子犬を病気から守る「免疫」が含まれています。しかし母犬からもらう「免疫」は2ヶ月ほどでなくなってしまうため、この「免疫」がなくなる前に1回目の予防接種を受けて、「免疫力」を高めることが必要です。計3回の予防接種を終えるまでは「免疫力」がまだ不十分であるため、散歩などは控えるようにしましょう。出かける際には抱いたり、キャリーバックにいれたりしてあげてください。
「免疫力」は加齢とともに低下して、高齢犬になると病気にかかりやすくなります。このときは過ごしやすい環境を整え、おなかに優しい食事や、無理のない程度の運動の管理をすることで病気の発生を少なくすることができます。
※この記事は麻布大学獣医学部のご協力により作成いたしました。
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