動物看護士執筆
公益財団法人 日本動物愛護協会
相談室長 動物看護士 大橋志保
2017年がスタートし、寒さがいちだんと厳しくなってきました。この厳しい寒さに、散歩に出かけるのもついつい億劫になります。
季節はいつであっても、犬にとって散歩は大切な時間です。運動というだけではなく、ストレス解消や飼い主さんとのスキンシップやコミュニケーションの場であったり、いろいろな意味合いを持ちます。しかし、まだまだ『散歩=排泄』の方も多いのではないでしょうか?あくまでも散歩は運動やコミュニケーションの場です。排泄はおうちで済ませるよう心がけましょう。
本来は自分で体温調節ができますが、1年中エアコンで温度調節された環境に慣れてしまうと、体温調節機能が働かなくなってしまいます。その結果、暑さにも寒さにも弱くなり、対応できなくなっていきます。
冬でも外に出ることは大切とはいえ、温かい部屋から急に寒い外に出ると心臓に負担がかかります。また急激な温度変化を何度も繰り返すと体の抵抗力も落ちてきます。急に外の冷たい空気を吸うと咳き込んだり、呼吸器が炎症を起こし、肺炎や気管支炎、咽頭炎などの呼吸器系の病気にかかりやすくなります。
散歩に出る前は玄関や廊下など、家の中で比較的寒い場所で準備をし、寒さに慣らしながら出かけましょう。散歩中もすぐに走ったりせず、犬の調子を見ながらペースをあげていきましょう。
寒い日は室内と室外の温度差を少なくするために、洋服を着せるとよいでしょう。我家の愛犬はとても寒がりなので、室内着の上にダウン着用で出発します。
室内で様々な暖房器具が使われる時期なので、犬猫のやけどにも十分注意をしてください。足元に置くストーブやファンヒーターなどでは、近づき過ぎて被毛を焦がしたり、エアコンやホットカーペットなどでは、低温やけどの心配があります。
エアコンの温風が当たる場所でじっと動かずに寝ていたり、ホットカーペットの上で寝返りもうたずに熟睡していたりすると、とっても危険です。飼い主さんがそばにいられない就寝時やお留守番時の防寒対策としては、エアコンの温風が直接当たらないよう風向きに注意をしたり、徐々に冷めていく「湯たんぽ」が比較的安心です。ただし、湯たんぽも低温やけどの心配がまったくないわけではないので、厚手のタオルでくるむなどの配慮をしましょう。
夏と違い冬はあまり水を飲まない犬猫が多くみられます。水分量が十分でないとおしっこの回数が減り、尿石症や膀胱炎、腎不全など泌尿器系の病気にかかりやすくなります。飼い主さんが寒いからと散歩を怠り、おしっこを我慢させることなども原因となります。
また、普段からおしっこの観察をして、いつもと違うこと(色がおかしい、量が多い、少ない、なかなか出ない、痛そうにしているなど)があれば病院へ行きましょう。
ドライフードを与えている場合は、特に水分が摂れるように注意し、常に新鮮な水を置きましょう(冷たいようであればぬるま湯を)。水に味付けをして、スープにするような工夫をし、飲水量を増やす方法も一つです。我家では猫の飲水量が少ないので、缶詰少量を水で溶き食後に与えています。缶詰は水分の含有量が80%あるので、冬場だけドライフードに缶詰を混ぜたり、缶詰に切り替えるなどの対応も必要です。
私たち同様、犬猫も高齢化が進んでいますが、年をとれば人間と同じく寒さによって影響を受け易くなる部分も出てくるため、飼い主さんの配慮が必要です。
年をとると、筋肉量や脂肪量も減ってくるので、冬の寒さに弱くなります。最近では室内で人間と同じように過ごしていることが多いため、寒さに弱い犬猫も増えています。特に高齢であったり、心臓や呼吸器の弱い犬猫は【寒さ】に注意が必要です。
今、我家の愛犬は「わんダント2」(FUJITSU)という製品を利用し、日々の活動量を観察しています。よく言えば「見守り」、いや「見張り」です(笑)。わんぽ計で歩数やぶるぶるの回数をチェック、室温や湿度を計測しています。留守中の寝ている時間が多いことや、生活空間の室温・湿度等がわかったので、散歩で無理をさせないように注意をしようと思います。
寒さに負けず、愛犬・愛猫と共に元気にこの冬を乗り切りましょう。
*公益財団法人 日本動物愛護協会 相談室長 動物看護士 大橋志保先生 に記事を作成して頂きました。
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