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犬・猫の睡眠について~ぐうたら寝ている理由は?~

動物看護士執筆

ぐうたら生活?それには理由があるのです!

犬猫寝る

公益財団法人 日本動物愛護協会

相談室長 大橋志保

 

我家の愛犬も愛猫もぐうたらよく寝ています。前回もご案内した「わんダント2」(FUJITSU)で観察していると、起きている姿を見ることは皆無に等しい状態です。愛犬に限ってはほとんど動いていない! 家族が帰宅する夕方以降から一気にわんぽ計の数値があがっていきます。そして早寝の愛犬は21時になるとトイレを済ませ、寝てしまいます。

 

そんなぐうたらと思われる犬猫も「寝る」ことには理由があるので、今回はそのぐうたらの誤解をときましょう。

 

睡眠時間

犬や猫の睡眠時間は平均して12~14時間です。1日の半分以上は寝ていることが多く、雨の日はさらに多く寝るとされています。また幼少期や老齢期はもう少し長くなります。

 

睡眠時間が長いのは野生の名残といわれ、獲物を狙いやすい夜に行動ができるよう、日中によく寝て、無駄なエネルギーは使わないようにパワーを温存しているようです。本来は夜行性ですが、ペットになると人の生活に適応するため夜も眠るようになり、睡眠時間が伸びたといわれています。

 

犬猫が熟睡する姿はなかなか見ることができません。というのも普段はレム睡眠(眠りが浅い状態)だからです。周囲に物音や異変が生じたらすぐに目覚めることができます。また目覚めて危険がないと確認したら再度眠りにつきます。反対にノンレム睡眠(眠りが深い状態)になる時間は非常に短く、この状態になると安心して眠っているので、いつもの寝姿とは違うはずです。

 

どこで寝る?

猫やすみ

猫は一般的に狭いところを好みます。寝床の気温も重要で、夏は涼しいところ、冬は暖かい場所を選ぶため、夏と冬では寝る場所が違うことも多いのではないでしょうか。昼間は日当たりがほどよい場所、夜は薄暗いところを好みます。

 

犬があごを床につけながら眠っている時はレム睡眠です。あごを地面につけて寝ているのは外からの脅威をすぐに感じ取るためです。逆に地面からあごを離して横になっていたり、手足を広げて無防備な姿の時は熟睡(ノンレム睡眠)しています。飼い主さんの前でこのような状態が見られることは、信頼されている証拠です。

 

寝る場所アンケートをとると、飼い主さんと寝ている、部屋の中の自由な場所で寝ているという回答が多く見られます。可愛いからついつい一緒に寝てしまいたい・・・気持ちは分かりますが、小型犬・猫などは寝返りなどで潰される危険性や、小さい頃から一緒に寝ていると動物病院等に預ける際、不安やストレスで体調を崩すこともあります。また「動物由来感染症」というペットから人にうつる病気があり、いろいろな病原菌がペットと一緒に寝室に侵入していることがわかってきています。過剰なスキンシップには注意が必要です。

 

レム睡眠とノンレム睡眠

睡眠には深い眠りの「ノンレム睡眠(Non-Rapid Eye Movement sleep)」と浅い眠りの「レム睡眠(Rapid Eye Movement sleep)」の2つがあります。ノンレム睡眠とは、血圧や体温、呼吸が低下し、体だけでなく大脳も休息の状態です。反対にレム睡眠とは、体は休息に入っているものの、大脳は目覚めている状態です。

 

人の場合、レム睡眠が約90分の周期で現れ、睡眠全体の80%はノンレム睡眠だといわれています。それに対し、犬猫はその逆でレム睡眠が80%だといわれています。周囲に異変が起きたらすぐに反応して回避できるように、ほとんどの時間が浅い睡眠になっています。

 

レム睡眠の間には記憶の定着が行われる他、夢を見ていることがあります。寝ているのに走っているような仕草をしたり、体を舐めて毛づくろいをしていたら、夢を見ているのだと見守ってあげましょう。ノンレム睡眠は脳を休息させ、心身の健康を保つのに非常に重要な役割を担っています。人間であればノンレム睡眠の割合が8割になるため、ここが最も犬猫と人間の睡眠とで異なる部分です。レム睡眠の間は起こそうとすれば起きてくれますが、犬猫も睡眠不足になるとイライラしやすくなったり、健康に問題がでてくる場合もあるので起こすのはやめましょう。

 

寝ている姿はとても可愛らしくて、ついついかまいたくなりますが、頻繁に起こしてしまうとストレスを与えることになりますので、ほどほどに。その寝顔、寝姿を見られるのは飼い主さんの特権として見守りましょう。

 

しかし、我家の愛犬はやはりぐうたら生活だなと思ってしまいます・・・(笑)

犬が寝ている

*公益財団法人 日本動物愛護協会 相談室長 動物看護士 大橋志保先生 に記事を作成して頂きました。

 

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