動物看護士執筆
~どこで、どんな器で与えていますか?~
公益財団法人 日本動物愛護協会
相談室長 動物看護士 大橋志保
現在は数多くのペットフードが販売され、昔のような残飯を食べる犬猫は少なくなってきました。逆に「手作りごはん」のレシピ本まで販売されている時代です。総合栄養食と表示されたフードとお水だけで、健康を維持できるのがペットフードですが、「味気ない」「何か工夫してあげたい」と思う飼い主さんも多いのではないでしょうか?
しかし、犬猫が食べると死に至る危険な食材や、消化がしにくい食材などがあります。手作りごはんも全てを変える場合と、トッピングをしたり、おやつなど与え方も様々です。私たちが食べるものが一番おいしくて、それが犬や猫にとってもおいしいはずというのは間違いです。犬には犬の、猫には猫の栄養学があります。また栄養学的なことのみでなく、それぞれ体質等も異なるので、手作りごはんや人のものを与える場合は、かかりつけの獣医師に相談をしてからにしましょう。
もちろん食事内容は大切ですが、その食事を与える環境や食器について、今回は見直してみましょう。
ドライフード、ウエットフード、水がメインとなり、手作りごはんも近年増えています。人間のように道具は使わず、口で直接食べます。食べやすい食器や姿勢等、年齢などによっても食器等を配慮してあげることも大切です。
健康であれば床に置いた食器から、そのまま食べることができます。歳をとってくると、関節疾患や筋肉の衰えから下を向いてご飯を食べることがだんだん苦痛になってきます。そこで歳をとった子には、少し底の高くなった食器を選んだり、あらかじめ専用の台に食器を固定することができるものも出ていますので、食事をする様子を観察してみましょう。
また食欲の低下した子は、少し食べ物を温めて匂いを強くしてあげると食欲がわくことがあるので、電子レンジ対応の食器や容器の底が二重になっていて、ごはんを湯せんできるようになっている食器もあります。
食事を入れる容器を選ぶ時のポイントとして、大きさ、深さ、重さ、質があります。
材質として、プラスティック、ステンレス、陶器などいくつか種類があります。器によって温度が変化することもあります。
○プラスティック
安価で入手しやすく、軽いため持ち運びがしやすいのが特徴です。しかし、細かい傷がつきやすく、汚れがおちにくいため、菌が繁殖することもあります。
○ステンレス
傷がつきにくいため、菌が繁殖しにくく、汚れがおちやすい、長持ちするのが特徴です。ただ金属の臭いが気になることもあるので、ステンレスに変えた途端に食欲が低下した場合は非金属の食器に変えましょう。
○陶器
重みがあり安定するため食べやすい食器です。ただし、落とすと割れてしまう、重く持ち運びが大変など、飼い主さんにとっては扱いづらい面もあります。
キッチンやリビング、廊下、飼い主さんの部屋など様々あります。飼育頭数や個々の性格、食事内容によって変化しますが、その子にとって居心地のよい場所を見つけることが大切です。また飼い主さんの目の届きやすいところを選ぶことも重要です。
食事の場所として多く選ばれているのが、キッチンやリビングです。キッチンは人間にとって便利な場所です。食べ物を保管したり、食器を洗うこともできます。しかし、料理をしている時は危険を伴う場所でもあるので、出入り禁止やシンクの上に登らせないなど気を付けておくことが重要です。リビングも同様に、テーブルに登らないなど、家族でルールを決め教えてあげる必要があります。
キッチンではゴミあさりにも注意が必要です。焼き鳥の串やハムのビニール、食材の臭いのついたラップ等を食べてしまうケースも多いので注意をしましょう。
我家の愛犬はキッチンで、ステンレス製の長い耳が入らないよう口が狭くて底が深い専用の食器を台に乗せ・・・愛猫はリビングのケージ内で犬にとられないよう必死に、ステンレス製の食器を使い食べています。食事タイムの1~2時間前よりキッチンに集合しています。待ち時間より食べる時間の速さと言ったら、あっという間です。
飼い主さんが「毎日使ってあげたい」「ごはんタイムが楽しくなる」器を選びましょう。持ちやすさ、使いやすさ、色合いやデザインなども考慮に入れ、愛犬・愛猫がその食器を使い、ご飯を食べている場面を想像して選ぶと、飼い主さんのペットにとって最適な食器になるでしょう。
*公益財団法人 日本動物愛護協会 相談室長 動物看護士 大橋志保先生 に記事を作成して頂きました。
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