動物看護士執筆
公益財団法人 日本動物愛護協会
相談室長 動物看護士 大橋志保
毎年春になると、お住いの市区町村より「狂犬病の予防接種の時期ですよ」とお知らせの通知が届きます。犬の飼い主さん、お手元に届いていますか? 春はフィラリア予防と合わせ、病気の予防シーズンです。
狂犬病の予防接種(毎年1回、4月~6月までに接種)は法律で定められた飼い主の義務です。忘れずに予防接種を受けましょう。自治体で行う集団接種のほか、かかりつけの動物病院で受けることも可能です。
私たちにとって春は暖かく心地良い季節ですが、毛に覆われた犬猫は私たちより体感温度が高いので、気を付けたいことがいくつかあります。
日中は暖かい日でも朝晩は冷え込んだり、1日の気温差が大きい春は犬猫の体力を奪いがちです。特に幼齢や高齢のペットは要注意です。
気温が上がってくるとノミやダニが活発に活動し始めます。毎月1回、スポット剤を皮膚にたらして対策をしましょう。
基本的には毎年5月~11月の蚊が活動する時期にフィラリア予防薬を毎月与えます。与える開始月や期間は地域によって異なりますので、かかりつけの獣医師の指示に従いましょう。フィラリア予防薬には錠剤タイプ、チュアブル(おやつ)タイプ、スポットタイプなどがあります。
猫のフィラリア予防はまだまだ浸透していませんが、命にもかかわることなので獣医師に相談しましょう。猫の予防薬はスポットタイプのみです。
この時期にお手入れを怠ると、毛玉になって皮膚の通気性を悪化させ、皮膚が蒸れて湿疹ができたりします。こまめに丁寧なブラッシングをし、スムーズな換毛の手助けをすることが大切です。
夏は危険と注意をしている方が多いと思います。春はまだ安心と油断しているこの時期の熱中症…朝晩は冷え込み、一方で日中はとても暖かく、つい見落としてしまうのが、お留守番環境です。
朝出かけるときは冷えていても、日中の閉め切った部屋は春の陽射しで一気に気温が上昇します。また、春はまだ体が暑さに慣れる前なので、過ごしやすい時期であっても、お留守番の際には窓を開けたり、エアコンをつけたりして温度管理をすることが大切です。
私たち人間同様に、犬や猫も体に不調が起こると元気がなくなります。飼い主さんであれば、いつもと違う表情や行動の変化に、すぐ【元気がない】と気が付くことができると思います。
・好きなものを与えても食べようとしない
・散歩に行きたがらない
・下を向いて辛そうに歩く
・反応が鈍い
・動くことを嫌がる
・目に力がない
これらのような行動が見られたら、病気や怪我など何か問題が起こっている可能性があります。また同時に発熱や下痢、嘔吐、鼻水などが見られることもあります。
原因はさまざまで、先天性の心臓病や腎臓病、肝臓病や内分泌の病気、寄生虫、中毒、癌などがあります。引越しや旅行、長距離の移動、飼い主が不在、家族以外との接触、一頭で長時間の留守番、花火、雷などの環境の変化によるストレスなど、精神的な負担で元気がなくなることもあります。
最近は24時間、365日開いている動物病院が増えてきました。かかりつけ病院が閉まっている夜間や休診日に限って「具合が悪いかな?」と…一度心配や不安に思うと、どんどん思いは募る飼い主さん。かかりつけが24時間やっていなくても、夜間の救急専門病院も増えていますので、日頃から夜間等に具合が悪くなった際に駆け込める病院を調べておきましょう。
朝まで様子をみたりせずに、飼い主さん自身が落ち着いて行動することが必要です。飼い主さんの心配が犬や猫にも伝わりますよ。とは言っても、お恥ずかしい話、私自身いつもパニックになりかかりつけ医を困らせる飼い主でもあります。
*公益財団法人 日本動物愛護協会 相談室長 動物看護士 大橋志保先生 に記事を作成して頂きました。
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