愛玩動物飼養管理士執筆
愛玩動物飼養管理士
青山ケンネルスクール認定 A級トリマー
大谷幸代先生
ミニチュアダックスフンドには「ロングヘアード」「スムースヘアード」「ワイヤーヘアード」の3つの被毛のタイプがあります。
体のサイズは、被毛のタイプが違ってもほぼ同一ですが、気質は被毛のタイプによって大きく異なった特徴を持っています。
最も一般的で飼育頭数の多いタイプが「ロングヘアード」です。
このタイプは本来のミニチュアダックスフンドの猟犬としての気質をよりペットとして馴染み易いように改良する中で誕生しました。
その為、気質は比較的穏やかで、人間とも他犬とも友好的に接する事が出来る特長があります。
また被毛のカラーバリエーションが大変豊富な事もこのタイプの特長です。
しかし、被毛の色によって、奇形種の誕生が危惧される為交配が禁止されている個体もいるので、注意が必要です。
次に「スムースヘアード」と呼ばれる非常に短い被毛を持つタイプの特長は、筋肉質で引き締まった体つきと好奇心が旺盛で活発な気質です。
このタイプはミニチュアダックスフンド本来の猟犬としての気質を強く受け継ぎ、負けん気が強く、自己主張が明確で頑固な一面があります。
しかし、しつけの習得が早く、飼い主には大変忠実です。
ただ、初めて犬を飼うというご家庭では、やや持て余してしまう事があるでしょう。
そして、ミニチュアダックスフンドの中では比較的頭数が少なくマイナーな存在の「ワイヤーヘアード」がいます。
このタイプは、まるでスチールウールの様な手触りをした硬い被毛が特徴です。
トリミングの技法もハサミでカットするのではなく、指で被毛を引き抜く技法が本来のスタイルです。
このタイプは品種改良においてテリア種の血統をあえて交える事で、より気質の強いミニチュアダックスの輩出を目指した結果です。
ミニチュアダックスフンドの体高の低さを生かし、木々の隙間や鋳薔薇の道を難なく通り抜けるような狩りに重宝されました。
その為、気質はテリアそのもので、しつけはしっかりとしたトレーニングが必要です。
ミニチュアダックスフンドに一番多い皮膚トラブルは「内耳」の病気です。
ミニチュアダックスフンドは垂れた耳が特徴ですが、この耳が大きい事から、内部が蒸れてしまい、汚れが溜まりやすくトラブルを頻繁に起こしてしまいます。
その為、週に1,2回は綿棒と専用のローションを使用し、耳掃除をしてあげましょう。
もし、耳の内側の皮膚は赤くただれている、強いかゆみがある時は、家庭でのケアを一旦中止し、早期に動物病院を受診しましょう。
また、ミニチュアダックスフンドは比較的アレルギーを発症する確率が高い犬種です。
その為出来る限り早期に動物病院で血液検査を受け、アレルギー源となる素材を確認し、その後の食生活では除去するよう注意してあげましょう。
ロングヘアードのミニチュアダックスフンドのお手入れ方法は、月に2回ほどを目安にシャンプーをしてあげましょう。
ミニチュアダックスフンドは体高が低いので、下腹部が汚れやすいのでしっかりと洗ってあげましょう。
ロングヘアードの場合、下腹部、足周り、尾の飾り毛が成長と共に長くなります。
この部分の飾り毛は、床や地面につかない程度の長さに切り揃えておいてあげると、日ごろから清潔にいる事が出来ます。
スムースヘアードのミニチュアダックスフンドのお手入れは、シャンプーはもちろんですが硬く絞った蒸しタオルで体を拭いてあげるという方法でも構いません。
特に冬など乾燥しやすい季節やフケが気になる場合には、タオルでのお手入れがおすすめです。
このタイプは、皮膚が非常に乾燥しやすい特徴があり、或る程度の皮脂量を保てることが健康の秘訣です。
愛犬の状態に応じてシャンプーの頻度を調整したり、シャンプー剤は刺激の少ない物を選んであげましょう。
ワイヤーヘアードのミニチュアダックスフンドのお手入れは、トリミングショップなどで定期的なカットが必要です。
このタイプは被毛の抜け変わりのサイクルが非常に長いので、抜け毛で落ちにくいという特徴がある代わりに、カットが必要になります。
ワイヤーヘアード本来の硬い毛質に仕上げるためには、子犬の頃から被毛を引き抜く技法でのトリミングが必要ですが、この技法を十分に習得しているトリマーの数が少ないので、事前に近隣のトリミングショップや動物病院などに相談をしておくとよいでしょう。
ロングヘアードのミニチュアダックスフンドの女の子のモカちゃんは、2歳になっても被毛の量が非常に少なく、ほぼ地肌に近いといえるほどでした。
特に胸元の被毛が薄く、ピンク色の地肌が見えているほどです。
もちろん、ご家族のイメージは、図鑑や雑誌で目にするような豪華な被毛を持ったミニチュアダックスフンドを想像して子犬を迎えたので、2歳になった時点でこのような状態になるとは思いもしなかったそうです。
動物病院でアレルギー検査を受けても特にアレルギーが原因でもなく、これ以上の脱毛があってはと避妊手術も先送りしている状態で、これ以上の解決策が見当たらないという中で、試行錯誤した結果、実は食事にその原因がある事がわかりました。
実は、モカちゃんのご家族は、これまで犬の飼育経験がなく、子犬を迎えるにあたって様々な情報収取をする中で、市販のドッグフードの品質に不安を感じ、食事は独自のレシピで手作り食を与えていたそうです。
当然、2歳になった今もその食事が続いています。
その為アレルギーや下痢などの目だった不調もないままにこれまで成長をしてきたものの、実はモカちゃんは食事の接取量が大幅に不足している状態が続き、栄養失調、痩せすぎになっていました。
もちろん、食事は朝夕与えていたものの、犬は生後一年で一生分の身体の成長を遂げます。
この時期、成犬の3倍以上の栄養を接取しなければなりません。
その栄養素の大半は肉や魚などの動物性タンパク質で構成されますが、モカちゃんはこの栄養素が大幅に不足していたのです。飼い主さんが目でみて感じる以上に、子犬期の食事は量が多く、肉や魚が必要だったという事です。
この事がはっきりしてからは、市販の製品も上手に活用しつつ食生活を見直し、適性体重に近づける事でしだいに体つきがしっかりとなり、毛量も自然と増えてきています。
ミニチュアダックスフンドの皮膚トラブルで比較的多く見られる症状に「フケ」があります。シャンプーをしても翌日には、もうフケが目立つというものです。特にかゆみや湿疹などの別の症状を伴っていない場合、家族もつい単なるフケを軽く捉えがちです。
しかし、フケが出ているという事自体が体の不調のサインでもあるので、決して軽く見てはいけません。
フケが出るという事は、「エアコンや床暖房などで皮膚が乾燥しすぎている」「シャンプーの頻度が高すぎる」「シャンプー剤が体質に合わない」などの原因が考えられます。
思い当る点を早期に見直してあげましょう。
黒色の被毛の場合、フケがとても目立つので、発見も早期に出来ますが、それ以外の被毛の色の場合、フケが多くてもなかなか気がつかないこともあります。
日ごろ愛犬を撫でる時、ブラシをかける時には注意して皮膚の状態を確認してあげましょう。
また、脂肪分の多い食事やおやつを与えすぎている場合、油脂の過剰摂取がおき耳の内部や指の間、涙やけなどのトラブルが起こることもあります。
このようなトラブルが起きているときは、食生活を見直してあげると自然と改善されることもあります。
ミニチュアダックスフンドは、骨格が非常にしっかりとしていて、力が強い犬種です。
かゆみや不快感を覚え、自ら掻く事でその力の強さからつい掻き壊してしまうことがあります。
体の不調のサインに気がついたら、出来る限り早期に原因を見つけ、対処してあげましょう。
*このコラムは大谷幸代先生に記事を作成して頂きました。
【大谷幸代先生】
愛玩動物飼養管理士
青山ケンネルスクール認定 A級トリマー
メディカルトリマー
学生時代にイギリスへドッグトレーニングの勉強のため、短期留学。その後、ペットショップ販売員、トリマー、ドッグトレーナー、ペットシッターなど様々な仕事を経験してきた。ホリスティックケアアドバイザーや日本アロマテラピー協会認定アロマテラピーインストラクターなどの資格も取得。ペット関連用品の開発、雑誌などへのコラム執筆を手がけるなど、【犬を飼う生活から、犬と暮らす生活へ】の実現をめざし、幅広く活躍している。
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