動物看護士・トリマー執筆
トリマー 動物看護士
山之内さゆり先生
ぬいぐるみのように愛くるしく、元気で人懐っこいトイプードルは、今も昔も人気の高い犬種として広く知られています。
そんな可愛らしいトイプードルの毛並みの特徴として、次のような特徴があります。
・さまざまなカットスタイルができる
・カール毛で密度がある
・抜けない(換毛期がない)
・乾きやすい(シングルコート)
・毛玉になりやすい
プードルはその毛質からいろいろなカットスタイルを楽しむことができますが、同時に伸び続けるうえに毛玉もできやすい毛質なので定期的なトリミングが必要となります。
トイプードルは毛が抜けない代わりに毛玉になりやすくムレやすい状態になってしまうので、特に夏場になると膿皮症や脂漏症を発症しやすくなったり、秋から冬にかけては人間と同じように皮膚が乾燥しやすいためフケが出ることもあります。
・スキンケア系のフードを与える
・月に1~2回のトリミングで清潔に保つ
・自宅でシャンプーをする場合すすぎ残しや半乾きにしない
・こまめにブラッシングをしてあげる
基本的なことではありますが、この基本ができていないとトラブルの原因となるので覚えておきましょう。
トイプードルは皮膚トラブル以外にもさまざまなトラブルを引き起こすことがあるため、対処法と合わせてご紹介します。
トイプードルは比較的爪の中の血管が長い傾向にあるため、あまり長さを短くできない場合があります。
だからと言って放っておけば、血管と神経と一緒にどんどん爪が伸びるので、細目に切ってあげたりお散歩で爪を削るなどしてケアしてあげましょう。
年を取ると見られることが多いのですが、肉球が乾燥して捲れてしまうことがあります。肉球専用のクリームやオリーブオイルを使て保湿をしてあげることで、乾燥やひび割れを防ぐことができます。
成犬の8割は歯周病であると言われているように、口内トラブルは非常に多いです。日頃から歯ブラシやデンタルガムでケアをしてあげるようにしましょう。
トイプードルの毛並みを美しく保つためには、定期的なトリミングだけでなく、自宅でのお手入れもすることがポイントとなり、そのための専用アイテムもあるのでお手入れの順番にご紹介します。
スリッカーブラシはブラシ部分の硬さにハードとソフトがありますが、自宅でお手入れするならソフトでいいと思います。
毛もつれや毛玉が酷いとハードを使うのですが、慣れないうちからハードを使うと皮膚を傷付けてしまうので、酷い毛玉やもつれができる前のお手入れとしてやってみましょう。
使い方ですが、いきなりワンちゃんに当てるのではなく、自分の手の平にスリッカーブラシを当てて、手の平に対して平行に優しく動かしてみてください。
その動かし方と力なら痛くないと思いますが、試しに角度を付けて手の平で動かしてみましょう。
すると、当然皮膚が軽く削れたように痛かったと思います。それをわんちゃんの皮膚でしたらどうなるでしょう。痛くて触られたくなくなってしまいます。
そのため、スリッカーブラシを扱う時は皮膚に対して平行に優しくブラッシングします。ブラッシングする場所はその時触れる場所で大丈夫です。
ただし、ブラシを当てる順番は毛先から根元にかけてです。根元からすると毛先にもつれがあったとき引っかかって痛いので、できるだけ痛い思いはさせないように、毛先から優しく梳いていきます。
一通り梳いたらコームで毛先から先に梳いて、徐々に根元から毛先に向かって梳くようにして毛玉やもつれが残ってないか確認しましょう。
使うシャンプーとトリートメントは、できればアミノ酸系やオーツ系などの保湿をメインとしたものを選ぶといいです。こうしたものであれば、潤いを残しながら汚れを落とすことができるので、フケなど乾燥を予防することができます。
洗う時は、しっかりシャワーで全身を濡らしたら洗面器などにシャンプーを入れて泡を予め作ってから洗います。
その後しっかりすすいだらトリートメントをして、すすぎ終わったらドライヤーでしっかり乾かしてあげましょう。
ドライヤーの際にはブラッシングをしながら乾かしてあげると綺麗に早く乾くので、できれば誰かに支えてもらいながら乾かしていきましょう。
スキンケアフードもいろいろなものがあるのですが、できれば動物病院に置いてあるものがいいでしょう。
動物病院に置いてあるフードは皮膚疾患の改善や予防ために作られたものなので、健やかな皮膚と毛並みのためにも十分な効果を発揮してくれますし、毎日の食事だからこそ続けやすいというメリットもあります。
チョコちゃんはトイプードルの女の子で、脂漏症になって皮膚と毛がベタつき痒みもありました。
飼い主さんの好みでふっくらしたテディベアカットだったのですが、自宅でのお手入れが苦手ということもあって毛もつれがところどころ出来ている状態。
そのため、飼い主さんはチョコちゃんのベタつきはただの汚れだと思っていたらしく、まさか毛に隠れている皮膚に問題があるとは思っていなかったようです。
そこで1週間に2回の定期的な薬用シャンプーで脂漏症の原因となる菌を洗い流して保湿し、さらに長かった毛を5~6mm残るくらいの長さにカットして通気を良くすることで、ムレによる菌の繁殖を防ぎました。
薬を使っての治療は行ないませんでしたが、薬用シャンプーとカットによるムレ防止によって徐々に皮膚の状態が改善され、同時にベタついていた被毛もふっくらとして2ヶ月後には予防をメインとしたトリミングで十分になりました。
そして、また繰り返してしまわないように清潔感を重視して、異常早期発見のために体は短く顔や手足だけおしゃれを取り入れたカットにすることで、健やかな状態を維持しています。
トイプードルはアンダーコートがないとはいっても、毛が密集しているため表面上だけでは皮膚の異常に気付くことができません。
そこでブラッシングの時だけでなく、日頃からのスキンシップの時や寝ている時でもいいので、毛をかき分けて地肌を見るようにしましょう。
・フケがでていないか
・赤みはないか
・黄色いかさぶたはないか
・湿疹はないか
・ベタつきはないか
・痒がっている様子はないか
こうしたところを注意して見るようにして欲しいのですが、見る場所は胴体だけではなく、脇の下・お腹・内股・耳の内側などを特にチェックするようにします。
こうした部分は皮膚が柔らかくトラブルを起こしやすい場所でもあるので、体だけではなくそうした部分も一緒にチェックしましょう。
こうしたちょっとしたチェックを行なっているだけでも、異常の早期発見・早期治療に繋がり、もっと早く気付いていれば…なんてことも極力防ぐことができるので是非習慣にしてくださいね。
Q.スキンケア系のフードに関して、オススメなどがありましたら教えて下さい。
A.スキンケア系のフードならウォルサムから出ているセレクトスキンケアやスキンケアプラスがあります。
どちらも皮膚が弱い子や健康的な皮膚を維持したい子に使用することができるプレミアムフードとなります。
Q.自宅でシャンプーする頻度の目安を教えて下さい。
A.自宅でのシャンプーは月に1~2回です。ただし頻繁に洗いすぎると必要な油脂までまで取ってしまうため、月に2回なのであれば2週間に1回を目安にすることをオススメします。
もしどうしても頻繁に洗いたいということであれば、記事でも書いているような保湿をメインとするシャンプー剤なら毎日でも洗えるものがほとんどです。
*このコラムは山之内さゆり先生に記事を作成して頂きました。
【山之内さゆり先生】
トリマー、動物看護士
約10年間動物病院でトリマー兼動物看護士として勤務。現場で得た知識と経験を情報として発信し、飼い主さんとペットが幸せに暮らせるためのお手伝いをしていきたいと思います。
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