動物看護士・トリマー執筆
トリマー 動物看護士
山之内さゆり先生
猫は高齢になると若い頃よりも丸く穏やかになり、昔はツンツンしていた性格のようなタイプの猫だと、その穏やかさが分かりやすいのでおもしろいですよね。
しかし、高齢になって変わってくるのはそうした性格だけではなく、皮膚や毛並みの状態も変わってきます。高齢猫の皮膚は痩せてくることも関係してだんだんハリがなくなり、柔らかくなってきます。
もともと猫の皮膚は伸びが良く柔らかいのですが、若い頃と比べて更に柔らかくなります。
人間でいうと、おばあちゃんの二の腕や手の甲の柔らかさに近い感じです。また、皮膚の質感だけではなく乾燥もしやすくなるのでフケが多くみられるようになります。
そして、毛並みはだんだん艶が減って抜け毛も増えて見た目がパサパサしてきます。
触り心地は柔らかいことには変わりないのですが、やはり若い頃と比べると抜け毛が増える分、細くなったように感じますし、毛の立ち具合も目立ってきますね。
高齢猫になると乾燥をしやすくなるとお話ししましたが、乾燥しやすくなると皮膚トラブルを起こしやすくなります。
というのも、人間も乾燥肌の人は肌トラブルが起こりやすいのと同じで、乾燥をしているということはそれだけ刺激に弱くなっているためです。
猫は老齢猫に限らずノミアレルギーや食物アレルギーが多くみられますが、老猫になると乾燥がそうしたトラブルに対してより敏感になるので、フケがでているから乾燥しているんだなぁだけではなく、痒がっていないか、湿疹や炎症は起こっていないか、脱毛をしている部分はないかなどを注意して見ておくようにしましょう。
老猫になると皮膚や被毛以外にもさまざまなトラブルを招くことが多くなります。まず一番多いのが爪です。
猫の爪と言えば鋭くとがった爪ですが、若いうちは細く鋭く鋭利な爪をしていますよね。でもこれが老猫になってくると、だんだん爪が太く硬くなっていき、しかも爪とぎをすることも減ってくるため、いつの間にか爪がすごく伸びていてどこかに引っ掛けて折れてしまったなんてこともあります。
ですから、1週間に1回は爪のチェックをして猫用の爪切りで短く切ってあげるかプロにお願いするようにしましょう。また、老猫になると爪が太く硬くなるため、犬用の爪切りが丁度良かったりもするので、もし猫用の爪切りだとなかなか切れないかなと感じたら使ってみるといいですね。
そして次に口内です。犬の歯周病は結構気に掛ける飼い主さんが多いのですが、猫の歯周病に関してはもともと綺麗好きな動物ということもあってか、意識が薄れてしまっている人が多い傾向にあります。
猫も犬と同じように日頃から口内ケアをしてあげないと、溜まった歯垢が歯石となり歯周病になります。その歯周病が酷い状態になると、口の内側から皮膚に穴をあけて血や膿が出たりしてしまいます。そのため歯磨きをしたり、飲み水に溶かすだけで口内ケアができる商品が動物病院に売っていたりするので、飼い主さんがケアすることが難しい場合は、そうしたアイテムを使ってみるのもいいでしょう。
最後に肉球ですが、皮膚に弾力や潤いがなくなってくるように肉球も例外ではありません。肉球も若いうちはふにふにして柔らかいのですが、老猫になると肉球も乾燥してくるので硬くなりがちです。
ヒビが入るほど乾燥する子はほとんどいませんが、乾燥気味や乾燥しているという状態だとそれだけ弾力に欠けてしまうので、いろいろな刺激に対して弱くなってしまいます。
そうした刺激から守ってあげるためにも、保湿クリームなどを使って肉球をマッサージしながらケアをしてあげると、柔らかい肉球を保つことができます。
高齢猫になったら毛づくろいをあまりしなくなるため、昔よりも抜け毛が目立つようになります。また、皮膚も乾燥してくるためより抜けやすい状態にあるといってもいいでしょう。
ですが、きちんとケアをしてあげることで高齢猫とは思えないような毛並みを目指すことだって不可能ではありませんので、毛並みをキレイにする秘訣をお教えします。
まずはブラッシングです。使うものはスリッカーブラシ(ソフトタイプ)とコーム(細目)と濡れタオルです。犬の場合はスリッカーブラシで、もつれや毛玉を取りますが、猫の場合は抜け毛を絡めとるイメージで大丈夫です。
ただその前に一度硬く絞った濡れタオルを使って、全身を撫でるようにして拭いてあげます。そうすると抜け毛が宙を舞うのをかなり少なくできますし、濡れタオルにも抜け毛がたくさん付くので一石二鳥です。
その後に、スリッカーブラシを優しく当てて撫でるようにブラッシングしてあげましょう。そのあとにコームの細目の方で残った抜け毛を取るようなイメージです。
もしフケが出ていたり乾燥が気になるといった場合には、洗い流さないトリートメントなどが売られているので、そうしたもので地肌から保湿をしてあげるといいです。
犬ならシャンプーをしてあげてもいいですが、猫はもともと濡れる事を嫌う生き物なので、よほどの理由がない限りは濡れタオルとブラシを使って、最後にトリートメントで保湿をしてあげるといった程度で大丈夫です。
こうしたケアを続けていくと、ボサボサしていた毛並みも艶やかでキレイな毛並みになりますし、今後もその状態を維持することができるのでスキンシップの延長線上でやってみましょう。
ただし、なかには濡れタオルでのマッサージはいいけどブラシを当てられるのが嫌だ!という子もいるので、その場合は無理にしなくてもいいです。
無理に押さえつけてしてしまうと逆にストレスになってよくないので、起きている時にするなら濡れタオルでケアをして寝ている時に少しだけブラシをあててみるといったように、性格や状況に合わせてうまくやってくださいね。
みーちゃんは18歳の老猫の女の子で、すごくおっとりした性格の猫ちゃんです。飼い主さんが年を取ってから抜け毛がひどいということで、シャンプーをした方がいいのかとご相談にいらっしゃいました。
しかし、みーちゃんはシャンプーが好きではありませんし、老猫なので押さえつけたり鎮静剤を打ってまでするものではないため、濡れタオルを使ったケアで様子をみることにしました。
幸いブラシを当てても嫌がらない子だったので、濡れタオルでマッサージをしながら抜け毛を処理して、ブラシで残りも絡めとるといったことをしていると、だいぶ抜け毛が落ち着いてきたと喜ばれていました。
皮膚の状態はとくに異常はなく、健康的な皮膚だったので特別な事はしていませんが、季節の変わり目で敏感な時期は皮膚をスプレータイプのトリートメントで保湿をするなどして予防されていました。
何もしないよりずっと状態がキレイになって、飼い主さんはもちろんですがなんとなくみーちゃんもご機嫌なように見えました。
高齢猫の皮膚・毛並みをチェックするときには、まずは顔周りを見てみましょう。顔のパーツである眉あたりは脱毛をしやすい場所で、そこを痒がっていたり脱毛をしているときは皮膚の免疫力が低下していたり、アレルギーなど何かしらの皮膚トラブルを引き起こしていることがあります。
また、背中や首あたりも脱毛していなかどうかを見てみましょう。もし、顔や背中、首などどこかしら脱毛をしているようであれば、皮膚トラブルが起こっている可能性が高いので早めに動物病院へ受診することをオススメします。
そして、背中や胴体をメインに皮膚を確認してまずフケがでていないか、そして炎症や湿疹などがないかを見てみましょう。
もし執拗に尻尾や手足など、どこかをしきりに舐めている様子が見られた場合も、皮膚トラブルを起こしている可能性があります。その時は、舐めている所が炎症を起こしていないかなどをチェックしてください。
皮膚トラブルを起こしていない場合は、もしかしたらストレスを抱えている可能性もあるので、なにか環境で変わったことはないかなど、考えられる可能性を探してみましょう。
いずれにしても、日頃の行動を観察しつつ飼い主さん自身もスキンシップを兼ねて皮膚の状態を見ることで、異常早期発見に繋がるのでぜひチェックしてみてくださいね。
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*このコラムは山之内さゆり先生に記事を作成して頂きました。
【山之内さゆり先生】
トリマー、動物看護士
約10年間動物病院でトリマー兼動物看護士として勤務。現場で得た知識と経験を情報として発信し、飼い主さんとペットが幸せに暮らせるためのお手伝いをしていきたいと思います。
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