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フレンチブルドッグに多いがん(乳腺腫瘍)原因、治療、予防法

動物看護士・トリマー執筆

フレンチブルドッグ

動物看護士 トリマー

山之内さゆり先生

フレンチブルドッグに多いがん(乳腺腫瘍)について

フレンチブルドッグ

大きな耳にくしゃっとした顔のフレンチブルドッグ。その愛嬌のある見た目や人懐っこさに、チワワやトイプードルなどの人気犬種に引けを取らないくらいの人気があります。

 

フレンチブルドッグは特にこのがんが多い!というものはないのですが、比較的多く見られるのが乳腺腫瘍です。

 

乳腺腫瘍は避妊をしていないメス犬に多く発症するがんで、フレンチブルドッグでも、避妊をしていないメス犬によく見られます。

 

乳腺腫瘍の原因について

犬困る

避妊をしているメス犬と避妊をしていないメス犬の発症率から、女性ホルモンが乳腺腫瘍の発症に深く関係していることは明らかです。

 

しかし、女性ホルモンがどのようにして乳腺腫瘍を引き起こすのかといった詳しいメカニズムはわかっていません。

 

乳腺腫瘍の症状

チェック法

乳腺腫瘍になるとまず乳首のあたりにシコリができます。

 

最初は小さなものですが、通常乳首のまわりにコリコリしたものはありませんので、スキンシップを兼ねて触っているとすぐ気付くことができます。

 

乳腺腫瘍は良性と悪性のものがありますが、良性の場合急激に大きくなることはなく、そのままにしていても問題はないのですが、悪性だった場合、急激にシコリが大きくなります。

 

悪性だった場合、そのままにしておくと元気・食欲がなくなっていったり、シコリの部分を痛がって触られるのを嫌がるといった症状が出てきます。

 

良性なのか悪性なのかの判断をするには、急激にサイズが大きくなるか、痛みがあるか、といった以外にも注射器でシコリの細胞を少し採取して調べる細胞診検査や、シコリの一部を切除して検査する病理検査があります。

 

この乳腺腫瘍は良性と悪性の割合が半々(50%、50%)なので、あれ?シコリがある?と思った時点で、動物病院で診てもらうようにしましょう。

もし、悪性だった場合、広範囲に広がってしまう前に早めに受診し治療することが大切です。

 

乳腺腫瘍の治療法

犬の治療

検査の結果、乳腺腫瘍が悪性だった場合、すぐに手術で摘出する必要があります。

 

乳腺腫瘍の手術は、患部(シコリができている部分)を摘出するのはもちろんですが、同時に子宮と卵巣の全摘出、つまり避妊手術も行ないます。

 

乳腺腫瘍は女性ホルモンが関係しているがんなので、シコリだけ切除しても、女性ホルモンを多く分泌する子宮と卵巣が残っていては、再発する可能性があります。

そのため、シコリと一緒に避妊手術も合わせて行なうことで再発を防ぐことができるのです。

 

全身麻酔のリスク

手術自体は難しいものではないのですが、乳腺腫瘍の手術は全身麻酔で行われるため、年齢が高ければ高いほど全身麻酔に関するリスクが大きくなります。

(乳腺腫瘍は7歳以降のシニア期で多く発症が見られるます。)

 

また、フレンチブルドッグは、もともと気道が塞がりやすいといった特長があります。全身麻酔をかけるとさらに気道が塞がる危険性があるため、麻酔のリスクが他の犬種に比べて大きいです。

 

手術後の予後について

乳腺腫瘍は発見しやすく取り除くことができるため、骨肉腫や悪性リンパ腫といった他のがんに比べると、手術をすることでその後も元気に過ごすことができます。

 

しかし、自己判断で大したことないだろうと放っておいてしまい、それが末期の状態まできてしまうと、他の場所への転移も考えられるため、術後どれだけ生活できるかはその時の状況次第ということになります。

 

乳腺腫瘍の治療例

犬の治療例

乳腺腫瘍は避妊手術をすることで防ぐことができるのをわかっていても、「可哀想だから」と避妊手術をしていなかった飼い主さんがいらっしゃいました。

 

「100%乳腺腫瘍ができるとも限らないし悪性とも限らないのに、若いうちからメスを入れることがどうしても耐えられない」とのことです。

 

ですが、乳腺腫瘍は避妊手術をしなければ後々発症する確率が大きいがんであることは事実です。

 

そして、のフレンチブルドッグの子も9歳で乳腺腫瘍ができてしまいました。

 

定期的にトリミングに来ていたので、トリミングの際に私たちトリマーがいつもはないシコリに気付き、その旨を飼い主さんに伝え治療することになりました。

 

良性なのか悪性なのかは検査をしてみないとなんとも言えないのですが、他の犬種よりも手術に対するリスクが大きいことや仮に良性だった場合でも、今後悪性の乳腺腫瘍ができないとも限りません。

 

もし新しくできたものが悪性で摘出しなければいけないときに、今よりももっと高齢だとさらに麻酔のリスクが高く、場合によっては手術自体ができない可能性もあったため、良性か悪性なのかの事前検査はなしで、摘出手術と避妊手術を行ないました。

 

摘出すればその部位を使って検査でどちらかはわかるため、飼い主さんに希望をお聞きして検査も合わせて行ないました。

 

手術自体は終わっているので1週間の入院後、状態が問題なければ退院だったので大きな不安を抱えることはなかったのですが、実際検査結果が出た時、悪性だとわかったため、調べる前に手術をしていてよかったとおっしゃっていました。

 

また、「こんなことになるならやっぱり避妊手術をしておくべきだった」と後悔し、「可哀想だからとしなかったのではなく逆に可哀想なことをさせてしまった」と、予防の本当の意味を認識されていました。

 

食事で注意することや予防法

癌が多い犬種

乳腺腫瘍は食事やサプリメントでどうにかするというものではなく、予防するには早期の避妊手術に限ります。

 

そして、早ければ早いほど乳腺腫瘍の発症は低く、一番初めの発情期が来るまでに避妊手術を行なえば0.5%とほぼ発症率は0に近くなりますが、1回目の発情期が来てからだと8%、2回目の発情期が来てからだと26%とどんどん発症率が上がっていきます。

 

3回目の発情期がきたらその確率はもう6割近くになります。100%ではないかも知れませんが、それでも最初の発情期が来るまでにほぼ0%にすることができるなら、もしものときにわんちゃんも飼い主さんも辛い思いをしてしまわないように、避妊手術をしてあげましょう。

 

*このコラムは山之内さゆり先生に記事を作成して頂きました。

山之内先生

【山之内さゆり先生】

トリマー、動物看護士

約10年間動物病院でトリマー兼動物看護士として勤務。現場で得た知識と経験を情報として発信し、飼い主さんとペットが幸せに暮らせるためのお手伝いをしていきたいと思います。

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  • 森のいぬねこ病院グループ 院長

    西原克明先生

    獣医師

  • 増田国充先生

    増田国充先生

    獣医師

  • 大谷幸代先生

    愛玩動物飼養管理士

    青山ケンネルスクール認定A級トリマー

    メディカルトリマー

  • 山之内さゆり先生

    動物看護士・トリマー

  • 國澤莉沙先生

    愛玩動物飼養管理1級

    ホームドッグトレーナー1級

    小動物看護士他

  • 大柴淑子先生

    動物看護士(元)

    ペットアドバイザー