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柴犬の抜け毛(脱毛)原因、治療、予防法

動物看護士・トリマー執筆

柴犬

動物看護士 トリマー

山之内さゆり先生

■柴犬の抜け毛(脱毛症)について

日本の犬の象徴ともいえる柴犬は、昔は飼い主さんにしか懐かないお堅いイメージが強かったのですが、最近では豆柴のように品種改良されているためか、性格も穏やかになっている柴犬が増えてきました。

 

そして、柴犬の毛といえば密度があってふかふかしているのに、毛質はちょっと固めで濡れると乾きにくいという特徴があります。

 

また、わかりやすいほどのダブルコートなので、換毛期になると綿毛のようなものが体からいっぱい飛び出ているのを目にしますよね。柴犬は毛が深く密度があるため、こうした換毛期は特に抜け毛がすごいことになります。

 

しかし、これが病的な抜け毛になってくると換毛期のような抜け毛ではなく、脱毛状態になることが多いためハゲたり薄くなったりしてきます。

 

そして、柴犬に多い脱毛を引き起こす疾患がアトピー性皮膚炎・ノミアレルギー性皮膚炎・食物アレルギーです。

 

柴犬の抜け毛(脱毛)の原因、症状、治療

犬、質問

柴犬のアトピー性皮膚炎

■アトピー性皮膚炎の原因

アトピー性皮膚炎の原因はカビ・ダニ・花粉・ハウスダストなど、いろんなものが関与することで引き起ります。特定の何が原因となってアトピーを引き起こしているかわかりにくいので、アトピー性皮膚炎になると度々悩まされることが増えてしまいますが、薬やフード、シャンプーなどをうまく使ってコントロールしてあげることができます。

 

■アトピー性皮膚炎の症状

アトピー性皮膚炎になると脇の下やお腹、足の付け根など皮膚の薄い所を特に痒がり、赤く炎症を起こしたり湿疹やフケがでたりします。

 

アトピー性皮膚炎になると人と同じようにとにかく痒いので、頻繁に患部を舐めたり小刻みに噛んだりしだすので、もしそうした仕草をよく見るようになったら赤くなっていないか、湿疹が出来ていないかなどをチェックし、動物病院で診てもらうようにしましょう。

 

■アトピー性皮膚炎の治療法

アトピー性皮膚炎の治療は完治することは難しいとされています。ただ、その子その子によって症状の具合も異なるため、蒸し暑い夏場だけ症状が出る子もいれば、年中悩まされている子もいます。

 

治療法としては、抗炎症剤や抗ヒスタミン剤などを使って痒みを抑え、同時に皮膚を保湿して痒みを可能な限り抑える意味で保湿系のシャンプーによるケアも行なう場合もあります。

 

柴犬のノミアレルギー性皮膚炎

■ノミアレルギー性皮膚炎の原因

柴犬を飼っている飼い主さんはしっかりお散歩に連れて行く方が結構多く、もちろんそれ自体はすごく素晴らしいことなのですが、お散歩に行く回数が多いということはそれだけノミに感染する可能性が高くなるため、ノミの予防ができていないとたちまち感染し、ノミアレルギー性皮膚炎になってしまいます。

 

■ノミアレルギー性皮膚炎の症状

ノミアレルギー性皮膚炎になると、背中から尾の付け根とお尻にかけて湿疹ができ、強い痒みに襲われます。また、黒い砂のようなものがたくさん落ちていることがありますが、それはノミのフンです。

 

ノミアレルギー性皮膚炎はノミの数に限らず発症するので、ノミのフンが見付かると言うことは相当数のノミがいると思って間違いありません。

 

■ノミアレルギー性皮膚炎の治療法

まず何より真っ先にノミの駆除と予防を行ないます。よく「市販のノミ予防薬を使っているのでそんなはずはない。」とおっしゃる飼い主さんもいるのですが、市販のものは医薬品ではないので効果はあまり期待できません。

 

必ず動物病院で処方される駆除予防薬を毎月定期的に投薬して、しっかりと駆除と予防を行なっていくことがとても重要になります。

 

そして、ノミの駆除と予防薬をしながら、かゆみ止めでかゆみを抑えていきます。そうすれば次第に状態は落ち着くのですが、まずノミがいたという時点で自宅にもすごい数のノミがいることは間違いありませんし、その自宅にいるであろうノミがまだまだ孵化してでてくるため、完全にノミがいなくなるまでは最低でも2ヶ月はかかると思っていた方が賢明です。

 

また、ノミの駆除が終わって薬でかゆみが治ったから終わりではなく、今後も予防をしていなかければまた繰り返すので毎月の予防は季節に関係なく行うことが大切です。

 

柴犬の食物アレルギーについて

■食物アレルギーの原因

食物アレルギーは、フードに含まれるタンパク質に対してアレルギー反応を示すことでアレルギー症状が起こります。日頃から決まったものしか食べていないのに、急に痒がるようになったということもあれば、フードを変えてからなんだか様子がおかしいということもあります。

 

■食物アレルギーの症状

食物アレルギーになると目の周りや口周り、足やお腹など全身が赤く湿疹ができたり、かゆみだけでなく下痢を引き起こすこともあります。

 

食物アレルギーの場合、アレルギーの原因(アレルゲン)となるフードを食べると症状が出るため、もし環境の変化や特に変わったことはしていない、ノミダニの予防もしているとかであれば、比較的すぐ可能性を絞ることができます。

 

ただかゆいだけだろうと思って放置していると、掻くことで皮膚に傷がつきそこから細菌感染が起こることもあるので、かゆみや赤みが見られたら早めに動物病院へ連れて行ってあげましょう。

 

■食物アレルギーの治療法

食物アレルギーの場合はフードに含まれるアレルゲン物質を徹底的に排除していきます。そのためには、フードは一般フードではなくアレルギー専用のフードを与えます。

 

ただ、薬ではないので食べてすぐにかゆみが治まったり赤みが治るというものではなく、1~2ヶ月は様子を見ていく必要があり同時にアレルギー専用のフード以外は与えないようにします。

 

そうして試した結果状態が良くなれば治療完了ではなく、今後アレルギーを出さないために、アレルギー専用のフードを継続していくかたちになります。

 

アトピー性皮膚炎がよくなった さくらちゃん

犬の治療例

(さくらちゃん、女の子 6歳(当時))

 

定期的にトリミングに来てくれる子だったのですが、毛の密度がすごいこともあって、飼い主さんは皮膚の異常に気付いていませんでした。

 

抜け毛に関しても換毛期と重なっていたこともあって、それがアトピーが原因なのかということもわからないくらいです。確かに、明らかに脱毛をしていたり毛が薄くなっているような場所があればわかりやすいのですが、そうでもないとわからないのも仕方ありません。

 

ただなんとなく最近かゆがるから、ノミがいないか見ていて欲しいと言われていたので、入念にチェックしながらトリミングを進めていたのですが、見つかったのはノミではなく腹部の炎症と湿疹、足裏の炎症だったのです。

 

全身的にひどいものではなかったため、脱毛や抜け毛に関しては恐らく影響は出ていないだろうということで、ひとまず保湿メインのシャンプーとトリートメントをして一時的に痒みを軽減させることにしました。

 

そして、お迎えの際に抗炎症剤を使って症状を抑えて行った方がいいことをご説明し、シャンプーは今後も保湿系のものをメインで続けていくことになりました。

 

この子の場合は慢性的なものではなく、季節性のものだったらしく、季節の変わり目に決まってアトピーで痒みや赤みも出てくるのですが、その後はお薬で落ち着きお薬が終わる頃には季節の変わり目も過ぎているので、また安定するといったサイクルでした。

 

薬に関してはそうした症状がしっかり出ている時に限って出していましたが、シャンプーはバリア機能を高めてあげる意味でも保湿系のものをメインで続けていました。

 

そうしてうまく薬とシャンプーを状態に合わせて使うことで、ひどい症状になることはなく過ごせています。

 

食事で注意することや予防法

チェック法

まず、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーはフードを気をつけることで予防・改善することが可能なので、柴犬の密度のある毛がスカスカでしかも赤みやかゆみが出てしまうのを防ぎたいのであれば、まずはフードからでも試してみることをオススメします。

 

薬に対して抵抗を感じる飼い主さんも、フードであれば安心してチャレンジできるはずなので、一度動物病院で相談してみましょう。

 

また、ノミアレルギー性皮膚炎の予防はノミの予防薬の定期投与に限ります。これさえしっかりできていれば、ノミアレルギー性皮膚炎になることはないので、市販のものではなく必ず動物病院で処方してもらってくださいね。

 

*このコラムは山之内さゆり先生に記事を作成して頂きました。

山之内先生

【山之内さゆり先生】

トリマー、動物看護士

約10年間動物病院でトリマー兼動物看護士として勤務。現場で得た知識と経験を情報として発信し、飼い主さんとペットが幸せに暮らせるためのお手伝いをしていきたいと思います。

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  • 森のいぬねこ病院グループ 院長

    西原克明先生

    獣医師

  • 増田国充先生

    増田国充先生

    獣医師

  • 大谷幸代先生

    愛玩動物飼養管理士

    青山ケンネルスクール認定A級トリマー

    メディカルトリマー

  • 山之内さゆり先生

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  • 國澤莉沙先生

    愛玩動物飼養管理1級

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    動物看護士(元)

    ペットアドバイザー