愛玩動物飼養管理士執筆
愛玩動物飼養管理士
青山ケンネルスクール認定 A級トリマー
大谷幸代先生
ビーグルといえば明るく陽気な性格と丈夫な体をもつ犬種です。活発で体が丈夫なので、脱毛症という病気とは無縁なようにも思われがちですが、実は皮膚は非常にデリケートで様々なトラブルを起こす事があります。
ビーグルは他犬種同様に春と秋の2回換毛期と呼ばれる被毛が生え変わる時期があります。この時期、短くとがった被毛がたくさん抜け落ちます。ブラッシングをすると抜け毛が目立つと考え、あえて触れないようにするという方もいますが、ブラッシングやシャンプーで抜けかかっている被毛を先に取り除いてしまう方が、その後のお掃除がスムーズに済みます。
ただし特定の部位だけが完全に抜け落ちている、地肌が見える程に被毛が少なくなっている、皮膚全体がまだらに見える場合は病的な脱毛症の可能性があるので、動物病院を受診してあげましょう。
ビーグルの病的な抜け毛の原因として主に以下があげられます。
①アレルギー
②ホルモンバランスの乱れ
③ストレス
④病気の初期症状
ビーグルのような短毛種は、体自体はとても丈夫ですが、食べ物やノミダニ、薬剤などの外的要因に過敏に反応する場合が多く、アレルギーを発症するリスクが高いといえます。
特に食べ物に過敏に反応する事が多く、穀物、添加物、動物性油脂といった原材料には注意が必要です。これらの原材料は安価なドッグフードに多用されている事が多くみられます。
ビーグルは丈夫だから、外飼いだからと安価なドッグフードを与え続けてしまうとアレルギーを発症し、生涯にわたって治療が必要になる事があるので注意が必要です。
ビーグルが脱毛症を発症した時は、まずその原因を突き止めてあげましょう
食事やなんらかの物質に反応している場合は、血液検査で原因を突き止める事が出来ます。
原因物質を食事から完全に除去してあげましょう。
毎年春、夏にだけ脱毛が起こる、脇腹や内股に限って脱毛があるという場合、ノミダニの寄生が原因でアレルギーを起こしていることもあります。ノミダニ駆除薬は、市販の製品ではなく動物病院で処方される薬剤の方が効果が強く、長期間効き目が続きます。
カビや寄生中が原因の場合は、飲み薬の服用と薬用シャンプーで患部を清潔に保つ事で治療が出来ます。
ビーグルが脱毛症を起こしている場合、症状の把握がとても大切です。薬をあたえた事で症状が改善されているのか、それとも以前と変わらずもしくは悪化しているのかを数週間単位で観察し、動物病院の受診の都度報告をしましょう。
薬剤は犬の体質や症状によって効き目が異なります。体質にあった薬剤で早期に改善をしてあげましょう。
2年前に動物保護施設から新しい家族の元へ迎え入れられた当時のイチゴちゃんは、ビーグルの成犬としてはとても小柄で体重は5kgしかありませんでした。全身に小さな脱毛箇所が何か所もあり、ところどころ皮膚がただれています。
イチゴちゃんが動物病院で検査を受けたところ、脱毛の原因は膿皮症という病気でした。強いかゆみがあり、自身で傷口を噛んでしまい悪循環な状態です。これまでの劣悪な環境と栄養失調とが原因となりこのような状態になってしまっていました。
新しい家族の元では、イチゴちゃんはまず健康を取り戻す事を第一に考え、手作り食を与え、一時的にかゆみを抑える為にステロイドを使用し、傷口の化膿をふせぐ抗生物質も服用しました。
膿皮症の治療には定期的なシャンプーは必須でしたが、これまでシャンプーやトリミングの経験がないイチゴちゃんを自宅で毎日シャンプーをするのはとても難しいという事で、完治するまで毎日シャンプーのために来店いただく事になりました。
もちろん病気治療と毎日という頻度の為、トリミング料金を特別料金設定にし、無理なくご利用いただけるように手配もし、3カ月間毎日イチゴちゃんはお店に通ってくれました。
当初は傷口や脱毛部位が目立っていた体も次第に皮膚の状態が改善され、短い被毛が生え揃う様になり、半年を過ぎたころには普通のビーグルとなんら変わらない外見に戻る事が出来ました。
ピンクは14歳のビーグルの女の子です。若い頃からアレルギーがあり、かゆみが酷くなると患部を掻き壊してしまうので、かゆみ止めのステロイド剤を常用していました。しかし、次第にステロイド剤は効き目が弱まり、次第に容量も増え、10歳を超えるころにはほぼ毎日服用するほどになっていました。次第にかゆみ以外にも皮膚の異常が目立つようになり、全身に何か所も円形脱毛が起きていました。
ステロイド剤は即効性があり、効き目が強いので一時的にかゆみを止める効果はあるものの、内臓機能への負担も大きく、長年の服用でピンクにも様々な弊害が起こっていました。
そこで飼い主さんと相談し、これ以上ピンクに負担を掛けない為に、食事を完全手作り食にする事、当面は薬剤の服用を止めピンク自身の体力を取り戻す事を目指しました。シニアなので、回復にも時間がかかりますが、ピンクの免疫力を上げる効果のあるサプリメントを活用し徐々にですが元気を取り戻せたらと取り組んでいます。
脱毛症なのか、換毛期などの自然脱毛なのかの見極め方として、以下を参考にしてください。
①かゆみがある
②ブラッシングをすると、際限なく抜け毛がある。抜け残った被毛の量が少ない、硬くとがっている、地肌が見える
③壁や床、コンクリートに体をこすり付ける
④皮膚が赤くただれている、紫色の変色している
数mmサイズの小さな脱毛部位が全身に広がる事もあれば、体が全体が薄毛になることもあります。
自然な抜け毛であれば、地肌が見えるほど抜け落ちる事はありません。地肌が不自然に見えている場合は、病気のサインと考えてあげましょう。
短毛種のビーグルは、ついシャンプーの回数が少なかったり、あえて全身の状態をチェックしないという事もありがちです。でも飼い主が自宅でシャンプーをするという事は、全身にくまなく触れる事が出来る、病気発見のベストなタイミングです。シャンプーをする時は、ゴム製のブラシを併用し、抜けかかっている被毛をすっきりと取り除き、異常な箇所がないか確認をしてあげましょう。
また、日ごろから食事は良質で安全、安心な品質の製品を選び与えてあげましょう。
*このコラムは大谷幸代先生に記事を作成して頂きました。
【大谷幸代先生】
愛玩動物飼養管理士
青山ケンネルスクール認定 A級トリマー メディカルトリマー
学生時代にイギリスへドッグトレーニングの勉強のため、短期留学。その後、ペットショップ販売員、トリマー、ドッグトレーナー、ペットシッターなど様々な仕事を経験してきた。ホリスティックケアアドバイザーや日本アロマテラピー協会認定アロマテラピーインストラクターなどの資格も取得。ペット関連用品の開発、雑誌などへのコラム執筆を手がけるなど、【犬を飼う生活から、犬と暮らす生活へ】の実現をめざし、幅広く活躍している。
PS. ビーグルの皮膚・毛並みが良くなりました↓
我が家の癒しのビーグル犬、14歳になりすっかり老犬です。夏を過ぎ前足をペロペロ舐めていて、黒くただれてしまい病に行くと免疫低下によるニキビダニがわるさを、、、
アガリクスを飲み始めてから木製の柵を飛び越えて来るようになってしまって、柵の上に100均のアミを付け足しました。これもひとつ元気な現象でしょうか・・・
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