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犬、猫の腎臓病(治療法や食事について)

動物看護士執筆

犬、猫の腎臓病 病気のケア編

犬、猫の病気

公益財団法人 日本動物愛護協会

相談室長 動物看護師 大橋志保

犬がかかりやすい病気は「がん」が突出していますが、猫は幅広く病気にかかる危険性があります。

犬種・猫種別にもかかりやすい病気は違ってくるので、その種類に合わせて注意してあげることも大切です。

 

今回はかかりやすい病気ランキングの犬では3位、猫では2位の腎臓病についてです。

 

犬、猫の腎臓病について

犬、猫メモ

腎臓は一度悪くなると、その機能は回復しません。そして、なかなか症状がでにくい臓器でもあります。

 

猫の場合、15歳を超えた猫の30%が慢性腎臓病になっていると言われています。

 

また、犬は慢性腎臓病になっても症状が現れにくく、気付いたときには深刻な状態になっているケースが多くみられます。

 

高齢犬・高齢猫に、最も注意したい病気の一つです。

 

犬、猫の腎臓病の症状、サイン

最近、おしっこの量や水を飲む量が増えていませんか?

犬、猫チェック

犬と猫の腎臓病は、症状が現れたときや検査で異常が発見されたときには、かなり進行していることがあります。

 

よくみられるサインとしては、飲水量と尿量が増えた(多飲多尿)、体重減少、毛並みが悪くなった等です。

 

腎臓病は早期発見、早期治療が重要です。

 

定期的に尿検査*など健康診断を行い、できるだけ早期に腎臓病を発見してその進行を遅らせることが重要となります。

 

*尿検査は腎臓病以外にもさまざまな病気を発見することができます。

 

腎臓のはたらき

腎臓

腎臓はソラマメ型をした臓器で、左右に一つずつあります。ネフロンという小さな構造がたくさん集まってできています。代表的な働きは、尿を作ることです。そして、尿と一緒に不要な老廃物を捨てて健康な体を維持しています。

 

腎臓の造りは、犬と猫では違いがあります。その違いから、猫よりも犬の方が慢性腎臓病はより深刻です。

 

腎臓には血液を「ろ過」する働きと、必要なものを「再吸収」する働きがあります。

 

犬の腎臓はろ過に重点をおいたもの、猫の腎臓は再吸収に重点をおいたものとなっています。砂漠地方出身の猫にとって、水分を再吸収する腎臓の働きは生きるうえで重要だったのです。

 

この違いが腎臓病になったときの病気の進行度の違いに影響しています。

 

猫の腎臓病の特長

猫は腎臓病になると再吸収する働きが下がって水分を失いやすくなり、血液が濃くなります。

その結果、実際以上に毒素の値が高くなり、早い段階で症状が現れます。このため水分を補ってあげること(補液)で症状を改善することが期待できます。

 

犬の腎臓病の特長

犬の場合、ろ過をする機能が落ち、身体の中に実際に毒素が溜まることによって初めて症状が現れます。

そのため気付いた時には尿毒症に陥るなど病気が進行していることが多くみられます。

早く病気を見つけることが重要です。

 

腎臓病の治療

犬、猫の治療

腎臓の正常な部分の機能を維持させる治療を行います。

 

一度障害を受けて損傷してしまったネフロンは元には戻りません。

 

そして傷ついてしまった部分が行っていた働きを、残された正常なネフロンが請け負うことになり、その負担が増えてしまいます。

 

食事療法や輸液を行って、残された正常なネフロンを保存することにより、病気を悪化させないための治療を続けます。

 

病気が進んで尿毒症が出てしまった場合はその症状を軽減することが治療の目的となります。

 

腎臓病の食事のアドバイス

食事

腎臓病は食事管理が大切です。市販されているフードでは栄養素の調整が難しいため、腎臓病用の療法食(※)にきりかえることが大切です。

 

進行した腎臓病の犬・猫で食欲があまりない場合、食事療法食を与えるときに、消化吸収を最大にするために、食事回数を3~4回に分けて与える方法もあります。

 

38~39℃くらいに温めて与えると匂いがでるため、食いつきがよくなります。

 

常に新鮮できれいな水を与えましょう。

 

※腎臓病用の療法食

リンやタンパク質の量を調整することで、腎臓の機能に負担をかけないように作られています。

 

飼い主さんがこまめにチェックしてあげてください

飼い主 0516飼い主猫イラスト

ご家族の願いは愛犬・愛猫が元気に一緒に過ごすことだと思います。

 

昔は病気といえば主に感染症でしたが、予防医学や治療技術の発達、飼い主さんの知識向上により、近年、犬猫の寿命が飛躍的に延び、人間と同じような、多種多様の病気に罹るようになりました。

 

病気になってから慌てたり、後悔することのないよう、日々の食事や生活習慣、適度な運動等を心がけましょう。

 

病気になっても、辛さや痛みを訴えられない犬や猫たち。私たち飼い主がこまめにチェックしてあげることが一番の病気の予防に繋がります。

犬 喜ぶ猫喜ぶ

*公益財団法人 日本動物愛護協会 相談室長 動物看護士 大橋志保先生 に記事を作成して頂きました。

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  • 森のいぬねこ病院グループ 院長

    西原克明先生

    獣医師

  • 増田国充先生

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  • 大谷幸代先生

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