獣医師執筆
森のいぬねこ病院グループ院長
日本獣医学会、動物臨床医学会、獣医がん学会所属
西原 克明(にしはら かつあき)先生
最近では、がんなど様々な病気と戦うため、あるいは病気にならないよう健康を維持するために「免疫力を高めましょう」という言葉をよく耳にします。
実際に、人間でも風邪を引いた時には「免疫力が落ちたから風邪になった」とか、がんにかかった時には「免疫力を高めるサプリメントを取り入れましょう」といったことが言われています。
では、そもそも『免疫力』とはどのようなことを言うのでしょうか?
犬や人間の体は、『ホメオスタシス』と呼ばれる、常に体のコンディションを一定に整える機能が備わっています。
体温や血圧などの生理機能は、多少の変動はあるもののほぼ一定ですよね。
犬の体温は健康な場合には、外の気温に関わらず37℃から39℃の間に保たれますし、血圧も血液の量に関わらずだいたい平均100mmHgに保たれます。
このように、体は生命を維持するために常に自動的にコンディションを調整しているのですが、その中でも『免疫』とは、外部から病原体が侵入してきた時や、体内に不要な物質が存在する場合に、それらを排除する仕組みのことを言います。
そして実際に排除する能力のことを『免疫力』と言います。
もう少し具体的に説明しますと、ウイルスや細菌が、動物の体内に侵入してきた時、白血球などの力でそれらの病原微生物をやっつけてしまいます。
あるいは、がん細胞など、体のホメオスタシスを崩す細胞が存在する場合も、白血球がそれらを排除してくれます。このシステムのことを免疫と呼びます。
そして、その敵を排除する能力が高い状態を「免疫力が高い」と言うのです。
逆に免疫力が下がってしまうと、それら病原微生物の侵入を許し、あるいは体に有害な細胞が増殖してしまいます。
(もちろん、それらの中には免疫力が高くても巧みなシステムで免疫をすり抜けてしまうケースもあります)。
つまり病原微生物が侵入すると感染症を発症し、免疫システムが作動しないと病原微生物に冒され、やがて死に至ります。
また、がん細胞は、実は毎日体の中で一定の割合で作られています。しかし、免疫力によって病的ながんにならないように調整されているのですが、免疫力が低下してしまうと、そのがん細胞を制御できなくなって、最終的に、がんを発症してしまいます。
また、免疫力が下がっていると、発症した後のがんの進行も抑えることができず、体ががんに蝕まれてしまいます。
このように免疫力が下がってしまうと、体にとって重大な病気を引き起こしてしまいます。
また、免疫力の低下とは若干異なりますが、同じような免疫力の異常によって引き起こされる病気に、アレルギーがあります。
アレルギーは免疫力の低下ではなく、免疫細胞が自分の体を攻撃してしまう病気です。このような免疫異常も、免疫力の低下とともに現在の医療では非常に問題になっています。
では、なぜ免疫力が下がってしまうのでしょうか。
免疫システムはとっても複雑なメカニズムで作用していますので、様々な要因で免疫力が下がってしまいます。
その中でも主な要因には次のようなものがあります。
ウイルスの病気の中には、エイズウイルスのように動物の免疫力を下げてしまうものがいます。
動物の免疫力を下げてしまうことによって、ウイルス自身が体内で増殖するようになります。
通常、このようなウイルス感染は、感染するだけでは免疫力の低下は起こらないのですが、なんらかの原因で発症してしまうと免疫力が低下し『免疫不全』状態に陥ります。
免疫不全となった動物は、通常の免疫力があれば罹らないような細菌にも感染してしまい(日和見感染と言います)、またがんにも冒されやすくなります。
非常に稀なケースですが、動物の中には、生まれつき免疫を司る細胞が作られなかったり、特定の免疫システムが機能しないケースがあります。
そのような動物は、残念ながら免疫力を維持することができないため、短命に終わってしまうことがほとんどです。
動物の体は、ホメオスタシスを維持するために、様々なホルモンが作用しており、免疫システムにもかなりの影響を与えています。
そのホルモンの中でも免疫にとって非常に重要なのが、副腎という臓器で作られる『コルチゾール』と呼ばれるホルモンです。
このホルモンは『抗ストレスホルモン』と呼ばれ、本来は体が様々なストレスを受けた時に、それに適応するための働きをしてくれる非常に大切なホルモンです。
しかし、このコルチゾールは、多量に分泌されると免疫力を抑えてしまう作用を持っています。
そのため、副腎皮質機能亢進症などコルチゾールを過剰に分泌してしまう病気になると、免疫力も低下してしまいます。
現代の医療では肥満は立派な『病気』として考えられています。
肥満になると体の代謝が変化し、体の中の細かな炎症、いわゆる慢性炎症と呼ばれる炎症反応が過剰に発生します。
通常はホメオスタシスによって慢性炎症は問題なく処理されるのですが、肥満で生じた過剰な炎症を処理しきれなくなると、ホメオスタシスが破綻し、それによって免疫システムも異常を起こしてしまうと考えられています。
食事や運動、さらには日常のストレスの多さによっても免疫力が下がってしまうことがあります。
ドッグフードのようないわゆる加工食品は、手作りの食事に比較して、慢性炎症や糖化・酸化などの代謝反応をたくさん引き起こすと言われています。
通常、これらの炎症や代謝反応はホメオスタシスによって、問題なく処理されるのですが、過剰な炎症や酸化が起こった場合、あるいは体自身がこれらを処理する能力が落ちてしまった場合には、肥満と同じように免疫システムも異常を起こし、免疫力が低下してしまうと考えられています。
さらには、加工食品は腸内細菌にも影響を与えることが知られています。
実は動物の体にある免疫細胞の70%が腸に存在していることがわかっており、免疫システムの中でも非常に重要な役割を担っています。
そして腸内細菌は、その腸の免疫細胞の調節に重要な役割を果たしていることがわかっており、実際に腸内細菌の異常が様々な免疫の病気と関わっていることが知られています。
そのため、加工食品の食べ過ぎによっても、何かしら免疫力の低下と関連している可能性が考えられています。
免疫システムには、実は筋肉も大いに関わっていることが知られています。
運動不足による筋力の低下は、血行を悪化させたり、体温を下げたりして、免疫力を下げてしまいます。
さらには人の研究では、適度の運動が免疫細胞の働きを活発にさせることが知られており、逆に運動不足によって筋肉の代謝が落ちてしまうと、体全体の代謝が落ちるため、免疫システムの異常を起こしやすい状態になると考えられています。
ストレスには、病気によるストレスの他にも、私たち人間が感じる精神的なストレス、社会的なストレスもあり、そういったストレスも、コルチゾールの過剰分泌を引き起こし、免疫力の低下を招くと言われています。
犬の場合は、それを証明した研究はまだありませんが、私自身の診療経験から見ても、人間と同じように、精神的なストレスや社会的なストレスによってコルチゾールの過剰分泌はあるように思います。
これら日常生活の異常による免疫力の破綻は、場合によっては数年という期間で生じると考えられており、普段の生活の中ではその徴候に気づきづらいものですし、また実際に検査など医療的に証明することは非常に難しいものになります。
さらには、免疫力の低下だけでなく、免疫異常にも関わっている可能性が高いと言われています。
免疫というのは非常に複雑なシステムですので、現在のところ、確実に免疫力を高める、つまり感染症やがんを予防できる方法というのは確立されていません。
もちろん、感染症の中には『ワクチン』によって予防できるものもありますが、まだまだごく一部の感染症しか効果がありませんし、インフルエンザワクチンのように効果が不明瞭なものもあるのが現状です。
しかしそのような中でも、次のような対策は、免疫力を高める効果が期待できると考えられています。
免疫力を高めるのに最も大切なのが「ストレスを溜めない」ことだと言われています。
人間の場合は、人間関係の悩みや睡眠不足といった不規則な生活を改善させることが有効ですが、犬の場合は、それぞれの犬の性質や飼育環境によって臨機応変に対応することが重要です。
一般的には、お家の中でも安心して過ごせるスペースの確保、規則的な生活(食事時間や散歩の時間を一定にする)、家族との十分なコミュニケーション、人間生活に適応するためのトレーニングが有効と考えられています。
適度な運動は免疫細胞を活発化させると考えられていますので、十分な運動量を確保することで免疫力をアップさせることができます。
しかし、人間の研究では過度な運動は逆に免疫力を低下させることがわかっていますので、あくまで”適度”に行うことが重要です。
しかし、残念ながら犬にとっての”適度な運動”の基準はありません。
犬種や年齢、これまでの散歩量、肥満の程度、病気の有無などによって、一頭一頭で設定されるべきものですので、ぜひかかりつけの動物病院やドッグトレーナーさんと相談しながら調節してあげることをお勧めします。
食材の中には、免疫細胞を活発化させるものが知られています。
その代表的なものがアガリクスなどに含まれるβグルカンです。
これらを適切に摂取することで、免疫力のアップが期待できます。
βグルカンをはじめ、免疫力を高める成分は、学術的に研究されているものも多く、その効果をかなり強く期待できるものもありますので、ドッグフードという加工食品が中心の犬には是非とも取り入れてあげたいものです。
ただし、実際に取り入れる際には、同じ成分であればどれでも同じ、ということではないので注意が必要です。
これらの成分は、その品質や加工方法によって健康増進効果は大きく異なるため、必ず、高品質なもの、不要な添加物を使用していないもの、不要な加熱などの加工をしていないものを取り入れることが重要です。
犬に使ってあげる場合は、ドッグフードに含まれているものやサプリメント形式のものがありますが、やはり添加物や加工の問題を考えると、高品質なサプリメントで摂取させてあげることをお勧めします。
例えばキングアガリクスは、同じアガリクスサプリメントの中でも圧倒的に学術的なデータを持っている高品質なものですし、添加物や余計な加工を一切行なっていないため、多くの犬にお勧めできるサプリメントです。
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また、βグルカンの他にも、酵素サプリメントやオリゴ糖などの食物繊維、乳酸菌などの腸内細菌製剤といったものも免疫調整作用があります。もちろん、これらのサプリメントもやはり高品質なものを選ぶことが重要です。
さらには、ドッグフード自体をその犬の消化に適した高品質なものにすることも、免疫力アップには有効な方法だと考えられます。
犬が元気で長生きするためには、免疫力を高めることは非常に大切です。
しかし、これらの方法を一つだけ行っても、なかなか効果は得られません。
様々な方法を組み合わせてあげることが重要ですし、さらには実際にその方法が合っているかどうかを確かめながら行うことも重要です。
執筆者
西原 克明(にしはら かつあき)先生
森のいぬねこ病院グループ院長
帯広畜産大学 獣医学科卒業
略歴
北海道、宮城、神奈川など様々な動物病院の勤務、大学での研修医を経て、2013年に森のいぬねこ病院を開院。現在は2病院の院長を務める。大学卒業以来、犬猫の獣医師一筋。
所属学会
日本獣医学会、動物臨床医学会、獣医がん学会、獣医麻酔外科学会、獣医神経病学会、獣医再生医療学会、ペット栄養学会、日本腸内細菌学会
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