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猫の免疫力を上げる4つの方法(食事、サプリメントなど)

獣医師執筆

猫 免疫力

森のいぬねこ病院グループ院長

日本獣医学会、動物臨床医学会、獣医がん学会所属

西原 克明(にしはら かつあき)先生

免疫力とはそもそも?

猫 疑問

体に細菌やウイルスが侵入すると、様々な病気(感染症)を引き起こしてしまいます。

しかし、体は病気にならないよう自分自身でそういった微生物を排除するシステムを持っています。

 

このような、微生物をはじめとする体内の異物を排除するシステムを『免疫』と言います。

 

免疫は主に血液中の細胞の一つ、『白血球』の働きによって活動しています。

そして目に見えないレベルで24時間365日、免疫細胞は働いています。

 

その免疫細胞の働きのことを『免疫力』と呼び、免疫反応が落ちてしまうと『免疫力が落ちた』とか、逆に様々な健康増進対策で、免疫細胞が活発になると『免疫力が上がった』と表現します。

 

免疫の働きは、直接的には細菌やウイルスと戦うことですが、それ以外にも、体の恒常性(=体が常に一定に状態を保つこと)を維持するための働きも持っています。

 

例えば、がん細胞は実は毎日、体の中で作られているのですが、実際にがんという病気になる前に、免疫細胞ががん細胞を排除しています。

 

また、細菌やウイルスによってダメージを受けた組織を修復する働きもあり、実に体の中で多様な活躍をしています。

 

免疫力が下がってしまうとどうなる?

猫 免疫力低下

免疫力が下がってしまうと、細菌やウイルスなど外部から侵入してきた微生物に対する抵抗力が落ちてしまいます。

 

抵抗力が落ちてしまうと、感染症を発症し、発熱や元気食欲の低下などの全身症状が見られるようになり、細菌やウイルスの種類によって様々な症状を発症するようになります。

 

また、感染が重度の場合は、細菌の毒素による障害が重度となり『敗血症』と呼ばれる状態に陥ったり、播種性血管内凝固症候群(DIC)という病気など、命を落としてしまう確率の高い状態となってしまうことがあります。

 

免疫力が低下すると「がん」も発症

さらには、免疫力が低下すると、日々発生するがん細胞に対応できなくなり、がん細胞がどんどんと増殖し、やがてがんを発症するようになってしまいます。

 

免疫力の異常による障害も

免疫力の異常も障害を引き起こします。アトピー性皮膚炎やリウマチなど、免疫細胞が自分自身の組織にダメージを与えてしまう『免疫異常』と呼ばれるものです。

 

免疫システムに異常が起こると、自分自身の体にも大きなダメージを与えてしまうレベルで炎症が起きてしまったり、あるいは免疫細胞が自分自身の組織を攻撃してしまうことがあります。

 

猫の免疫力が下がる要因

猫 調べている

実は免疫システム自体が全て完全に解明されたわけではありません。そのため、免疫力が下がってしまう要因も全ては分かっていません。

 

ここでは主な要因についてご説明します。

 

●ウイルス感染

猫では、猫白血病ウイルス(FeLV)、猫免疫不全ウイルス(FIV)というウイルスが、直接的に猫の免疫システムに異常を生じさせる感染症として知られています。

 

これらのウイルスは、猫に感染した時点では、特に重い症状は見られず、感染後は体内に潜伏しています。

 

しかし何らかの引き金によって活発化してしまうと、猫の免疫力を下げてしまいます。これらのウイルスは今のところ、完治させる方法はありませんので、ウイルス保有猫との接触を避けるなど、感染しないよう日常的に注意することが重要です。

 

●先天性の病気

猫では非常に稀ですが、生まれつき免疫力が低い猫もいます。しかし、そういった猫のほとんどは成長の途中で亡くなってしまうなど、やはり免疫力が低いと生存していくのは難しいと考えられています。

 

●ホルモン異常

免疫システムは体のホルモンによっても調整を受けています。

 

その中でもコルチゾールと呼ばれるホルモンは、直接的に免疫力を調整する作用があり、そのコルチゾールの分泌に異常が生じると、免疫力の低下が起こります。

 

しかし、人や犬と比べると、猫ではこのコルチゾールの分泌異常は、稀にしか起こらない珍しい病気と言えます。

 

●肥満

肥満は、栄養過多や炭水化物や脂質の代謝異常によって生じる病気です。

 

代謝異常の結果、体の中に目に見えないレベルの炎症がたくさん引き起こされ、通常の免疫力では対応できなくなり、免疫システムが破綻してしまいます。

 

その結果、肥満の猫では、がんなどの免疫異常によって生じる病気にかかってしまうリスクが高まってしまうと考えられています。

 

●ストレス

猫 ストレス

猫は単独行動を好み、広い範囲の縄張りを持つ動物ですので、室内飼育や多頭飼育では、多少なりともストレスを持っていると考えられています。

 

ストレスはコルチゾールの異常を引き起こし、免疫力の低下を招きます。

 

実際に猫の多頭飼育環境では、犬よりもウイルスなど感染症が蔓延しやすく、さらには猫伝染性腹膜炎ウイルスなど、免疫力が低下することによって感染する病気も多く見られています。

 

●食事

猫 食事

猫では、食事と免疫力の低下との直接的な因果関係を示す報告などはありませんが、動物の免疫細胞の約7割が腸に存在すると言われているため、やはり食事の影響は少なからず見られると考えられます。

 

特に猫は肉食動物ですが、近年のキャットフードは経済性のために、植物原材料が多く使われており、少なからず猫の胃腸には負担をかけていると言われています。

 

それが免疫にも影響を与えている可能性は否定できませんし、また私の獣医師としての経験ですが、免疫異常による病気が、食事療法によって改善するケースもあり、単純にアレルギー食材を使っていないだけでなく、消化性なども免疫調整に影響を与えていると考えています。

 

猫の免疫力を上げるには

猫の免疫力を上げるためには、『十分な運動』『ストレスを減らす生活』『肉食動物に合わせた食事』『免疫調整サプリメントの摂取』が有効だと考えられます。

 

運動

猫 運動

猫は犬と比較して、高いところに登ったりと、非常に優れた運動能力を持っています。

 

しかし室内飼育だと十分な運動を確保できなことが多く、慢性的な運動不足になりがちです

 

。実際に高齢猫の多くが関節に問題を抱えていて、肥満はもちろん、運動不足による筋力の低下が影響していると考えられています。

 

その一方で、基礎的な医学研究では、適切な運動が免疫力を高めることが知られています。そのため、運動不足になりがちな猫では、適切な運動をさせることで、免疫力を高めることができます。

 

とはいえ、外に出すのは危険ですので、キャットタワーやキャットウォークなど、室内で運動できる設備を整えて上げることをお勧めします。

 

ストレスを減らす生活

猫やすみ

ストレスを減らす生活というのは、猫は単独行動を好む動物ということを踏まえて生活空間を作ってあげることです。

 

多頭飼育の猫だけでなく、一頭で飼育されている猫でも、いつでも一人でのんびり過ごせる空間を準備する、隠れられる場所を作る、家の中は自由に移動できるようにするといった感じです。

 

だし、家の構造の問題もありますので、全て猫の都合に合わせる、というのは現実的には難しいですが。。。

 

食事について

猫食べる

肉食動物に合わせた食事というのは、できるだけ動物性タンパク質が豊富なキャットフードを使用するということになります。

 

ただし、単純に動物性タンパク質が多ければ良いということではなく、やはり原材料の品質が良いこと、不要な添加物を使用していないこと、栄養バランスが整っている総合栄養食であることなどは最低限クリアしたものを使ってあげたいところです。

 

免疫力を上げるサプリメント

猫 サプリ

免疫調整サプリメントについては、近年、猫の免疫力を高めるためのサプリメントが様々販売されており、中には基礎研究で、きちんと免疫細胞を活性化したり、免疫細胞のバランスを整える、あるいは実際にウイルスや細菌感染を抑制するといった報告があるものもあります。

 

そういったサプリメントを取り入れることで、日常的に免疫力を高めることができると考えます。

 

ただし、猫も含めたペットのサプリメントは、まだまだ法律の整備などは不十分で、中には低品質なものも存在しています。

 

ですので、サプリメントを選ぶ際には、十分吟味する必要があります。

 

その中でもキングアガリクスは、人工添加物は不使用なことはもちろん、豊富な基礎研究データがあり、さらには実際に猫で使用している経験もある高品質なサプリメントですので、安心してご利用いただけます。

 

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このように、猫の免疫は、健康生活を送る上で非常に重要なものです。ぜひ日頃から、免疫力アップを心がけた生活をさせてあげてください。

 

執筆者

西原先生

西原 克明(にしはら かつあき)先生

森のいぬねこ病院グループ院長

帯広畜産大学 獣医学科卒業

略歴

北海道、宮城、神奈川など様々な動物病院の勤務、大学での研修医を経て、2013年に森のいぬねこ病院を開院。現在は2病院の院長を務める。大学卒業以来、犬猫の獣医師一筋。

所属学会

日本獣医学会、動物臨床医学会、獣医がん学会、獣医麻酔外科学会、獣医神経病学会、獣医再生医療学会、ペット栄養学会、日本腸内細菌学会

カテゴリー Category

著者⼀覧 Author

  • 森のいぬねこ病院グループ 院長

    西原克明先生

    獣医師

  • 増田国充先生

    増田国充先生

    獣医師

  • 大谷幸代先生

    愛玩動物飼養管理士

    青山ケンネルスクール認定A級トリマー

    メディカルトリマー

  • 山之内さゆり先生

    動物看護士・トリマー

  • 國澤莉沙先生

    愛玩動物飼養管理1級

    ホームドッグトレーナー1級

    小動物看護士他

  • 大柴淑子先生

    動物看護士(元)

    ペットアドバイザー